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松原摩子

イタリア在住/ライター、通訳、AIS公認ソムリエ、JSA 公認酒エキスパート

1992年よりイタリア在住。イタリアソムリエ協会公認ソムリエの資格を取得後、07年にミラノからワイン産地、オルトレポーパヴェーゼへ移住。ワイン塾の主催や、ワイン輸出、食のイベントなども手掛ける。趣味は、ワイナリー巡り。

2017.11.13
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ミラノで日本ブーム 初の日本酒カクテルコンテストも!

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2015年のミラノ万博以来、イタリアには空前の日本ブームが到来している。日本館が最優秀パビリオンに選ばれ、連日8時間待ちの行列をつくったことが、起爆剤となったことは間違いない。
ひと昔前までは、日本に旅行に行くのは、裕福な初老のイタリア人か、アニメ世代のオタク、というのが定番だったが、いまや日本旅行の人気は、一般のイタリア人にすっかり浸透。

和食ブームにもいっそう拍車がかかり、ことに日本酒の人気は急上昇。日系のインポーターが相次いでミラノに進出し、状態のよい日本酒が飲めるようになったことも大きい。いままで保存状態の悪い劣化した日本酒しか知らなかったイタリア人は、「日本酒がこんなにおいしいものだったとは!」と口をそろえ、ファンが増えているのだ。

日本酒資格制度も、3団体による講座がミラノやローマでスタートし、応募が定員を超える勢いだ。

日本酒を飲める店も増えている。数年前にオープンした居酒屋「サケテカ・ゴー」は、連日満席の繁盛ぶり。3日に1度、一升瓶を買いに来るイタリア人の常連もいる。

昨年12月は、日本酒インポーター「サケ・カンパニー」が、直営レストラン「SAKEYA」をオープン。BARコーナーでは、カウンターやソファーで日本酒やカクテルを楽しめ、奥のテーブル席では、和食と日本酒がペアリングされた、お任せコースを楽しむこともできる。

年初には、日本酒振興クラブ「酒道」のMarco Massarotto(マルコ・マッサロット)代表が、イタリア初の日本酒カクテルのコンクールをSAKEYAにて開催。優勝者には「酒マエストロ」の称号と、スポンサーの月桂冠から酒蔵巡りの日本旅行が贈られるとあり、イタリア全土から61人の応募があった。書類審査は、カクテルのレシピ、料理とのペアリング、経歴等が評価対象となり、5人の審査員によって、決勝進出のバーテンダー5人(TOP写真)が選ばれた。

(主催者のMarco Massarottiと審査員5人)

当日使う日本酒は、各々がお気に入りの銘柄を持参。ペアリングの料理は、彼らのオリジナルレシピに沿って、SAKEYAの料理長が用意。本番では、ひとりずつカウンターでカクテルを創りながらトークを披露。審査員がペアリングの料理とともにテイスティングする。さすが、ファイナリスト達はベテラン揃いで、カクテルを創る手の動きや動作は、洗練されて無駄がなく、トークも魅力的だ。

とくに、15年イタリア最優秀バーマンに輝いたジャン・ニコラの、静かに流れるような語り口と日本酒の深い知識には、思わず引き込まれる。

(ジャン・ニコラのカクテル)

しっかりとした味わいの純米「香取」が用いられ、梅酒、緑茶ライムソーダ、カンパリ、ラベンダーのシロップ、ビッターなどが隠し味に使われた。カクテルの外観は、彼の人柄のごとく、繊細でシンプルな美しさ。味は、日本酒の特徴を活かしつつも、調和の取れた優しい甘みとインパクト。

一方、アレッシオのカクテル「Mitsuko」は、香水好きな彼が、ゲランのミツコをイメージして試作を重ねた力作。浦霞純米、生一本をメインに、ドライベルモット、山椒、レモングラス、ユズ酒、紅茶のビッターなどを絶妙なバランスで使いこなし、ミツコのエレガンスを表現。

(バーマン歴25年のベテラン、ジャン・ニコラ)

優勝争いはふたりの接戦であったが、語りに一歩秀でたジャン・ニコラが、初代酒マエストロのタイトルを獲得した。プレミアム旅行を手中に収め、控えめな笑顔で、「初めての日本にワクワクしている。とても待ち遠しいよ」と喜びを語っていた。

帰国後、日本酒ベースの新カクテルをさまざまなシーンで発表し、カクテルの世界に新しい風を吹き込んだ。バーテンダーとして数々のタイトルを獲得しているジャン・ニコラの発信力に、今後も期待したい。

写真 © Paola Bonini

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