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塚本悦子

日本在住/ワインライター・コーディネーター

ワインライター・コーディネーター。ワインスクール講師を経て、現在はフリー。ワイナート本誌では8号より執筆。産業能率大学通信講座「ワイン資格受験コース」監修。著書に「30日間ワイン完全マスター」(美術出版社)など。

2017.07.24
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星野リゾート リゾナーレ八ヶ岳へ。日本ワインづくしの1泊2日旅レポート

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山梨、長野のワイン産地に囲まれた立地を生かし、2006年からワインリゾートとしてさまざまな取り組みを進めてきた星野リゾート リゾナーレ八ヶ岳が、今年早々より、総工費15億円をかけた改装工事を実施。

3カ月間の全館休業を経て4月22日(土)にリニューアルオープンした新生リゾナーレ八ヶ岳とは? その全貌を体感すべく、標高1000メートル、美しい新緑溢れる八ヶ岳南麓の北杜市小淵沢へと向かった。

今回のリニューアルのコンセプトは、「ワインリゾートのさらなる進化」。

1泊2日の滞在で、そのコンセプトをどれだけ感じ取れるかと、ワクワクしながら到着。まずはメインダイニングのOTTO SETTEへ。
ワインリゾートのスタートは、3年間瓶内二次発酵を経て造られた中央葡萄酒のスパークリングワイン「グレイス エクストラ・ブリュット 2012」で乾杯だ!

通常は夜のみの営業のOTTO SETTEでは、レギュラーコースのほかに野菜とワインのマリアージュをテーマにしたコースディナー「Vino e Verdura」を提供。

近郊の新鮮な野菜をふんだんに使った11皿からなる料理とともに、山梨や長野などの日本ワイン9杯のペアリングも行なっているとか。
今回は特別に、コース料理の中から数皿をいただいた。

目にも鮮やかな最初の皿は、20種類の野菜にビーツのジュレを添えたアンティパスト。
動物や鳥がひんぱんにやってくる野菜畑をイメージし、野菜の下には鶏肉のパテ・ド・カンパーニュが潜む。

野菜は、近隣の契約農家、こまち農園で栽培されたものを中心に、スーパーではあまり見かけない非日常感あるものを意識して取り入れているそう。

どの野菜も、ひとつひとつの味が濃い! 大地の恵みが、このひと皿から堪能できた。

合わせたワインは、小布施ワイナリーの「ドメーヌ・ソガ ソーヴィニヨン・ブラン 2015」。

黄リンゴやフレッシュハーブの香りが漂い、清らかな酸と野菜的な辛味が融合。
なめらかで透明感あるスッキリとドライな味わいが野菜のうま味をより引き出した印象だ。

レストラン内からも見渡せるガラス張りの水冷式セラー内部には、500種類、約2,000本以上のワインが完璧なコンディションで眠る。

その8〜9割が山梨、長野主体の日本ワインで、入手困難なレアものもあちこちに!
日本ワインファン垂涎の、夢のようなラインナップだ。

リゾナーレ八ヶ岳では、メインダイニング以外にも食事の選択肢が数多くある。

今回のリニューアルで「より上質なカジュアル」を目指したというYY grillも、随所にワイン好きの心をくすぐる配慮が感じられ、なかなか居心地がいい。

こちらのレストラン、前菜はビュッフェで好きなものを楽しみ、メインのグリル料理は出来立て熱々の状態で席まで運ばれるというスタイル。

ワインカラーの落ち着いた色調、ブドウ棚をイメージした空間デザイン、ワイン樽からデキャンタ用のワインを実際に注ぐなど、いかにもワインが飲みたくなる演出があちこちに。

このYY grillも地元野菜のおいしさを前面に打ち出し、ビュッフェテーブルには、野菜のオードブル、生野菜、野菜の温前菜、メインの付け合わせ用温野菜と、カテゴリーごとに野菜料理がずらりと並び圧巻!

どれも、ワインが進みそうな料理ばかりなのである。

ワインはグラスやデキャンタ対応しているものも多く、甲州のオレンジワインなど通好みのアイテムも。ボトルワインのリストには、もちろん日本ワインがずらり。

さらに、OTTO SETTEのセラーから運んでもらうこともできる。

さて、滞在中、何度も足を運び、すっかりお気に入りのスポットとなったのが、ブックカフェ奥に併設されたYATSUGATAKE Wine house。

24本入りエノマティックに入っているのは、山梨、長野県産ワインのみ。

各ワインの説明が記載されたフォルダーを受け取り、気になるワインを見つけたら、会計用の専用カードを差し込み、25mℓ、75mℓのどちらか好みの量のボタンをプッシュ。
日本ワインがこれだけ一堂に飲めるなんて、これぞワインリゾートの醍醐味だ。

少量ずつ24種を全制覇するもよし、食事前のアペリティフとしてさくっと飲むもよし、食後の締めにチーズとともに好みのワインを堪能するもよし。

もちろん気にいったワインがあれば、ボトル購入も可能。

また、新たに導入されたヴィノ・ボックスを利用し、客室で寛ぎながらワインを楽しむことも!

ボトル1本は多すぎる、色々な種類を部屋で楽しみたい、というときにぜひ利用したい、嬉しいシステムだ。

ということで、私も早速お気に入りのワインを専用ボトルにいれ、リニューアルでより快適空間になったという客室へと向かった。

八ヶ岳の山々が描かれた室内は、夜はしっとり落ち着き、日中は窓を開け放てば風が流れて爽やか。
リラックスしながらおいしくワインが飲めるようにと、独自開発したグラスも完備され、部屋飲みも快適だ。

私が気に入ったのは、緑に包まれた広大なテラス。
夜には、ワイン片手に、満天の星が輝く夜空を眺めながら、ロマンティックな時間も満喫できる。

気持ちよい目覚めからの翌朝は、ヴィノ・スパを体験。トリートメントルームに入ると、まずは、ワイン1本分を加えた足湯でリラックス。

部屋中にワインの香りが漂う中、ドメーヌ・ミエ・イケノのメルロの搾りかすを使って独自開発したVINOスクラブパックを肌にのせていただいた。

まるで、熟成中の樽の中に浮かんでいるかのような気分!
至福のひとときをすごし、お肌もすべすべに。

ワインリゾートを謳うだけに、ワイン関連のアクティビティも多数用意されている。

土、日、祝日には、ホテルのソムリエとともに行く「八ヶ岳ワイナリー散歩」が好評だとか。
提携ワイナリーのドメーヌ・ミエ・イケノをはじめ、現在は週替わりで近隣の5ワイナリーで実施。
今後は、ワイナリー数も徐々に増やしていきたいとのこと。

今回は、車で約15分ほどのドメーヌ・ミエ・イケノの畑へお邪魔した。

標高750メートル、八ヶ岳、南アルプス、富士山と四方を山に囲まれた丘に広がるブドウ畑が、なんとも美しい。
太陽の光を燦々と浴び、風が抜ける畑に立ってみると、ブドウ栽培に適したテロワールなのだと、肌で感じられる。

栽培のこと、収穫時期のこと、年ごとの天候の話など、地元ならではの話を、レストランで実際にサービスを行なっているソムリエが気さくに話してくれるから、より一層、ワインに対する愛着も湧く。

畑を訪れたら、繊細なうま味がじわじわと湧き出すかのようなミエ・イケノのワインを改めて飲みたくなった。
ホテルに戻ったあと、再びYATSUGATAKE Wine houseに足を運んだのは、言うまでもない。

クラフトがさかんな小淵沢らしいアクティビティなら、ワインボトルのルームランプ作り体験も。

滞在中に飲んだワインや記念のボトルを使い、この世にひとつのルームランプが作れるのも興味深い。
次回訪れた際には、ぜひチャレンジしてみたいなあ。

そして、今回のリニューアルで新たに掲げた「BYO自由化宣言」も、ワイン好きには嬉しいサービス。
YATSUGATAKE Wine houseと「八ヶ岳ワイナリー散歩」で訪れたワイナリーで購入したワインは、施設内のレストラン(OTTO SETTEを除く)に無料で持ち込みできるのだ。

今回、星野リゾート リゾナーレ八ヶ岳で過ごし感じたのは、ハード、ソフト面ともに、ワインラバー目線で生み出されたさまざまなサービスの充実度が秀逸なこと!

今後は、7月21日から8月18日までの毎週金曜日に開催予定の「シャルドネステイ」、秋の「ワインリゾートフェスタ」 「夕暮れアペロ」など、期間限定のプランやプログラムも、目白押し。

山梨、長野のワインを思う存分堪能したいなら、つねに進化を続ける唯一無二のワインリゾートへ、ぜひ一度訪れてみてはいかが?

星野リゾート リゾナーレ八ヶ岳
http://risonare.com/yatsugatake/

Text&Photo:Etsuko Tsukamoto