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Winart

日本在住/

2018.09.24
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スロバキアワイン〜ヨーロッパの知られざる産地を江戸前寿司とのペアリングで学ぶ〜

ワイナート92号でご紹介したチェコのワイン。そのお隣の国、スロバキアもまたワイン産地としての古い歴史をもちます。今回はスロバキアワインと寿司とのペアリング体験をレポートします。

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スロバキアという国を、ご存知でしょうか?

イタリアのフリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州の東隣に位置するスロヴェニアと混同しがちですが、オーストリア、チェコ、ポーランド、ハンガリー、ウクライナと国境を接する、中欧の国のひとつです。かつて、第一次世界大戦が終わったあと、1918年にチェコスロバキア共和国が誕生。社会主義国家としての道を歩んでいましたが、東欧諸国での民主化の波の広がりを受けて、93年、ふたつの民族がチェコ共和国とスロバキア共和国として分離独立しました。

ワイナート92号でご紹介したチェコ共和国と同様、スロバキア共和国もまた、共産主義時代に忘れかけられてしまった「ワイン産地」としての地位を取り戻そうとしています。

©Mighty Wine

スロバキアの西側に位置する国内有数の銘醸地、小カルパチア地方のワイン造りの歴史は、2500年前に遡ります。中世ヨーロッパを支配したハプスブルク家にもワインを献上しており、女帝マリア・テレジアも好んで飲んでいました。

また、ハンガリー屈指の銘醸地とされるトカイも、じつは北部の2割の面積はスロバキアの領内に広がっており、国内には南部を中心に、6つのワイン産地に400軒のワイナリーが存在します。

国土面積は、日本の7分の1。そのなかに、1万4000ヘクタールのブドウ畑を有しています。栽培ブドウ品種のうち、7割は白ブドウで、隣国オーストリアではグリューナー・フェルトリーナーと呼ばれるヴェルトリンスケ・ゼレネほか、リースリング系の品種などが多く栽培されています。

マリアン・トマシクスロバキア共和国駐日大使とアレクサンドラ大使夫人

前置きが長くなりましたが、そろそろ本題に……。
スロバキア共和国駐日大使も参加してのペアリングの会。サービスされたワインは全7アイテムでした。

1. セクト・パルフィ・エクストラドライ・ロゼ N.V. ヴィーノ・ニトラ
2. Ex フランコフカ・モドラ 2013 ヴィラ・ヴィーノ・ラチャ
3. ヴェエルトリンスケ・ゼレネ 2015 ムルヴァ&スタンコ
4. カベルネ・ソーヴィニヨン 2012 ムルヴァ&スタンコ
5. ラドシンスキー・クレヴナー・リミテッド 2015 ピヴニツァ・ラドシナ
6. ピノ・ノワール 2012 カルパツカ・ペルラ
7. トカイ・クラシック・4プットニョヴィ 2003 トカイ・マチック

(ワインの輸入元:すべてマイティワイン https://mighty-wine.com/

まずは「セクト・パルフィ・ロゼ・エクストラドライ N.V.」で乾杯。
スロバキアの代表的赤系品種、フランコフカ・モドラ(=ブラウフレンキッシュ)を瓶内二次発酵させたスパークリングワインです。クリーミーな泡とフローラルな香り、ほのかな甘みが食前酒にうってつけ。合わせた前菜のホタルイカのコクと苦みが、ワインの甘やかさとしっかりマッチします。

お次は、なんと赤。またもフランコフカ・モドラ。前菜の飯蛸煮に合わせて。
アルコール度数が13%あるにもかかわらず、意外に軽やかに仕上がっています。ワインはアルコール度数では計れないと改めて認識……。スロバキアの首都ブラチスラヴァから車で30分の距離にある、小カルパチア地方の銘醸地ラチャ産のブドウから造られているとのこと。タコのダシに楚々と寄り添ってくれます。

そして、最重要品種ヴェルトリンスケ・ゼレネが登場!
色、香り、味わいともに、オーストリアのグリューナーよりもくっきり力強い印象。グラッシーさ、白桃を思わせる果実、さらに鉱物感。凝縮感のある味わいに、ナッツやクルミのニュアンスが感じられました。合わせたうすい豆のグリーンのトーンとハマグリと相まって、春らしい組み合わせ(大きな声では言えませんが、取材時は春の初めでした……)。


このあと、最初の3つのワインでお造り、焼き物、握りといただいていくのですが、フランコフカ・モドラ、ヴェルトリンスケ・ゼレネはいずれも万能選手。マグロ、太刀魚、〆サバ、桜鱒、甘鯛の昆布〆、コハダと次々とクリアしていきます。

個人的な好みとしては、

マグロ(大トロ)+赤:炙りの香ばしさとワインの芳ばしさが◎
太刀魚+ロゼ泡:繊細な食感と炙りの香ばしさとワインのクリーミーな泡と優しい果実味が◎
〆サバ+赤:青魚の鉄っぽさとワインのキレイな酸味が◎
桜鱒+白:鱒の滋味&春野菜のほろ苦さとワインの果実味&余韻のほろ苦さが◎
甘鯛昆布〆+白:昆布〆のねっとり感とワインのナッツ感が◎


漬けマグロに進んだところで、カベルネ・ソーヴィニヨンが登場。小カルパチア地方産カベルネは、2012年ヴィンテージということもあり、ピノ・ノワール的ともいえるエレガンスを湛えていたのが印象的でした。ほどよくこなれたタンニンは、漬けのしょうゆと溶け合います。続くウニの軍艦には、小カルパチア地方のニトラ地区の「ラドシンスキー・クレヴナー・リミテッド」。クレヴナーとは、ニトラ地区のラドシナ地域で栽培されるピノ・グリのこと。透明感がありながらも、品種特有の厚みとうま味も感じられ、ウニの甘みを引き出します。野生酵母を使い分けが功を奏しているのか、日本酒の吟醸香を彷彿とさせる口中香も心地よし。じつはこのラドシナのピノ・グリ、中世の頃ブルゴーニュからやってきた修道士により伝達され、この地のワイン造りの起源となったブドウなのだそう。

……またも話が逸れましたが、握りも終盤に、煮穴子+ピノ・ノワール2012がお目見え。ブルゴーニュスタイルのピノは酸がキレイ。凛としたタンニンとほどよい果実味が、ツメの上品な甘みを下支えします。フィニッシュは、山椒が口中をキュッとさわやかに締め、心地よい後口……。満足感に浸るなか、甘めのけら焼き(玉子焼き)にトカイ・クラシック・4プットニョヴィを合わせ、〆の味噌汁をいただいて会は終了しました。

今回ご紹介したスロバキアワインは、9月28日(金)から東京・原宿のクエストホールで開催されるチェコフェスティバルにも登場するとのこと。チェコフェスティバルでは、チェコワインとともに、スロバキアワインもお試しください!

Photo & Text : Winart