綿引まゆみ
日本在住/ワインジャーナリスト
会社員を経て、フリーランスのワインジャーナリストへ。ワイナート本誌のほか、ライフスタイル誌、オンラインメディアなどに執筆。ビアソムリエ(JBSA)、チーズプロフェッショナル(CPA)、コーヒー&ティーアドバイザー(ADRJ)。公式ブログ:https://blog.goo.ne.jp/may_w/
ヌーヴォーだけじゃない! 多彩なボージョレワインを楽しもう!
2019年5月21日、フランスのボージョレから10の生産者が来日し、ボージョレワイン委員会主催によるボージョレ・ヌーヴォー・キックオフパーティが、東京湾クルーズ船上で開催された。
ボージョレはフランスのブルゴーニュ地方の南部に位置し、ガメイ種から造られる赤ワインが大半を占める産地である。日本では、新酒ワインの「ボージョレ・ヌーヴォー」がよく知られ、毎年11月第3木曜日の解禁日にはニュースにもなるが、実際、ボージョレ・ヌーヴォーの最大輸出先は日本である。
しかしながら、ボージョレ委員会のドミニク・ピロン会長は「ヌーヴォーはボージョレ全体の生産量の1/3にすぎない。ボージョレワインには、みんなで楽しむボージョレ、個性豊かなボージョレ、特別なボージョレと、3つのタイプがある。ヌーヴォーだけではない多彩なボージョレワインの魅力をぜひ体験してほしい」と言う。
ボージョレの
12のアペラシオン
ボージョレ地区には12のアペラシオン(AOCボージョレ、AOCボージョレ・ヴィラージュ、10のクリュ・ボージョレ)がある。
AOCボージョレは、ボージョレ地区のブドウで造られたワインが表示できるアペラシオンで、早くから楽しめ、飲みやすく親しみやすいワインになることが多い。ヌーヴォーワインの大半もここに入る。
AOCボージョレ・ヴィラージュは、指定された村のブドウのみで造られたワインが名乗れるアペラシオンで、AOCボージョレよりも厳しい規定で造られる。土地の個性をもったワンクラス上の上質ワインになり、ある程度熟成させて楽しむこともできる
クリュ・ボージョレは、限定された「クリュ」と呼ばれる10のエリアで造られ、クリュそれぞれの特徴を表現した、ボージョレ最上級のワインになる。
≪10 Cru Beaujolais≫
Brouilly、Côtes de Brouilly、Chenas、Chiroubles、Fleurie、Julienas、Morgon、Moulin-à-vent、Régnié、Saint-Amour
シーンやオケージョン
気分に合わせて楽しみたい
多彩なボージョレワイン
今回のイベントでは、来日した10の生産者らのボージョレワインが紹介された。
暑い季節に、フレッシュなタイプのAOCボージョレの赤を軽く冷やして飲むのもいいが、爽やかに飲める白ワインや、美しい色合いのロゼワインも嬉しいもの。
2019年の
ボージョレ・ヌーヴォー解禁日は
11月21日(木)
ボージョレワインはヌーヴォーだけではない、と会長は言うが、11月第3木曜日の「ボージョレ・ヌーヴォー解禁」は、ワイン好きには見逃せない大イベントである。
2019年の解禁日の11月21日(木)には、ボージョレワイン委員会主催による解禁イベントが都内で開催され、東京から世界に発信する予定だという。また、2階建てバスをカスタマイズした「ボージョレバス」も解禁日に都内を走る予定となっている。
ボージョレ・ヌーヴォー解禁では、「100年に一度の出来」「近年最高の収穫年」など、その年の出来を表現するキャッチフレーズが出され、我々消費者はそれを聞き一喜一憂する。たしかにヴィンテージによる違いはあるだろうが、その違いが個性であり、個性があるからこそおもしろいのである。
今年のボージョレ・ヌーヴォーはまだ少し先になるが、どんな個性を見せてくれるだろうか?
なお、ボージョレ委員会の来日に合わせ、ボジョレーワイン騎士団叙任式が行われ、丸山宏人氏(オザミワールド)と、瀬川あずさ氏(レコール・デュ・ヴァン)が叙任された。ボージョレワイン騎士としての両名の今後の活躍も楽しみだ。
Text & Photo:Mayumi Watabiki