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2018.11.07
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「東御ワインフェスタ 2018」現地リポート Vol.3 新ワイナリーの意気込み

ヴィラデスト ガーデンファームアンドワイナリー(以下ヴィラデスト)やリュードヴァン、はすみふぁーむなど東御市と近郊のワイナリーやヴィンヤードのワインを気軽にグラスで楽しめる「東御ワインフェスタ 」。今年9月1日(土)に開催された第7回大会では、朝方の雨天にもかかわらず1600人が参加し、東御周辺の生産者が造ったワインと地元の食材を生かしたフードを楽しんだ。

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2008年にワイン特区に認定され、現在6軒のワイナリーが稼働する東御市。次いで坂城町、上田市、小諸市など8市町村も含めた広域ワイン特区が成立し、小規模生産者の参入がしやすい環境が整う。さらに東御市では新規就農者に対し、苗木購入や農地賃借、研修などの補助金制度も設置。こうしたサポートもあり、酒造免許を申請する事業主は年々増え、今年末には東御にさらにもう1軒のワイナリーが誕生予定だ。

ヴィラデストワイナリーから独立し、昨年、東御の6番目のワイナリーとなるカーブ・ハタノをオープンした波多野信孝さん。

この日、初めて自家醸造した2017年ヴィンテージのシャルドネをリリース。テイスティングを繰り返し、ベストなタイミングを図って出荷直前の8月下旬に瓶詰めした。ボトリングのタイミングを選べるのは自家醸造だからできること。「17年はブドウの出来がよく、厚みと深みのあるワインができた」と、マイワイナリーの初リリース作品を前に満面の笑みを見せた。

元競輪選手の飯島規之さんが妻君の祐子さんと立ち上げたのがシクロ(=フランス語で自転車の意)ヴィンヤード。

数日前に地鎮祭を終え、千曲川の左岸に目下ワイナリー建設中。年末には待望のワイナリーが完成する。12年に選手を引退し、東御に移住してワイン造りを学び始めた飯島さん。まずはそのファーストステージを乗り越えた。パシュート(=追い抜き競技を意味する)とアマンダのふたつのキュベで、白はシャルドネとソーヴィニヨン・ブラン、赤はメルロやアルモノワールを造る。現在はリュードヴァンに委託醸造しているが、来年度は自家醸造ができるようになる。

ブルゴーニュ品種を栽培する東御のヴィンヤード、ぼんじゅーる農園の蓑輪 康(みのわ・やすし)さん(写真中央)。

標高700mから800mの高地に畑をもち、ピノ・ノワール、シャルドネやアリゴテを植えている。「ピノ・ノワールはやはりむずかしい。けれどブルゴーニュワインが好きで、自分の飲みたいものを造ろうと思った」という蓑輪さん、今後ピノ・ブランやピノ・ムニエの苗木も植樹するそう。この日は17年ヴィンテージのピノ・ノワール、ピノ・ノワールのロゼとブラン、シャルドネ、アリゴテの5銘柄を販売。コクと深みのあるピノ・ノワール ブランや厚みと果実感に満ちたアリゴテなどを飲んで、「こんなワインがあるんですね」と感嘆した客も多かった。

この秋に出身地の坂城町にワイナリーが完成する坂城葡萄酒醸造の成澤篤人(なりさわ・あつひと)さんは、千曲川ワインアカデミーの1期生。

シニアソムリエでもある成澤さんはすでに長野県内にふたつのレストランをもち、新設のワイナリーにはレストランも併設予定。料理とともにワインを気軽に楽しんでもらえる業態を目指す。砂礫土壌の坂城の畑にメインで植えたのはカベルネ・ソーヴィニヨン。ワイナリー限定のトップキュヴェ「坂城カベルネ・ソーヴィニヨン」は、坂城出身の現代アーティスト小松美羽さんがエチケットの原画を描いたことでも話題。

ワイン愛好家からも人気だったアパチャー・ファーム。

販売したのは「モンスター 2017」(メルロー)と「スマイル 2017」(シュナン・ブラン)の2種。この地域では珍しいシュナン・ブランは、前半の予定本数を早々に売り切った。田辺 良さんの造るワインは天然酵母を使用し、化学肥料や殺虫剤、殺菌剤などを極力使わずに仕上げるためか、ナチュラルな味わいが人気だ。

東御市姫小沢にある90アールの畑は、17年7月に深刻な雹害に遭い、1000本のメルロのうち収穫できたのはわずか297本、辛いヴィンテージとなった。「買いブドウも使ってなんとか瓶詰めしました。自然が相手だからこういうこともありますね」。シュナン・ブランはしっかりと酸がのり、凝縮感のある味わいに仕上がったそう。現在はリュードヴァンで委託醸造しながら、ワイナリー建設の準備を進めている。

東御ワインフェスタは有名生産者や、委託醸造でワインを造る小規模生産者がずらりとブースに立ち、近隣住民がぶらりと訪れてコミュニーケーションを図ることができるのも魅力。

「以前は日本酒党だったけれど、長野のワインがおいしいというので最近飲むようになり、仲間を集って持ち寄りのワイン会なんかもやるようになった」という男性は、なんと庭で採れたというミントの葉を持参。「白ワインに浮かべると清涼感が出ておいしいんですよ」と、オリジナルの飲み方を披露。

横浜から日帰りで来たというご夫婦は、ご主人が東御の出身。地元のワインに愛着があり、初回から来ているのだとか。「普段はヨーロッパのワインを飲んでいるけれど、やはり長野ワインは応援したい。年々おいしくなっている気がするし、評価も高いみたいだね。来るたびにワイナリーの数が増えているのもうれしい」と語る。

小規模生産者や委託醸造のヴィンヤードなどレアワインを目当てに、県外や首都圏からコアな日本ワインファンもたくさん訪れる。「この産地はやはりシャルドネとメルロの質が高いので、この2品種を飲み比べてみるのもおもしろいですよ」という方も。通ならではのフェス楽しみ方は参考になりそうだ。

東御のブドウ畑は現在、収穫真っ最中。心配されていた台風もブドウ畑を避けて通り、仕上がりは上々のよう。18年ヴィンテージも期待ができそうだ。注目のワイン産地・東御のワインの味を確かめに、来年9月の第一土曜日は東御ワインフェスタへ。

Photo:Kentaro Ishibashi Text : Hiromi Tani