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2019.07.30
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アンドレス・イニエスタ所有のワイナリー「ボデガ・イニエスタ」。充実のラインナップに新アイテム登場

カスティーリャ・ラ・マンチャ州のD.O.マンチュエラ。このD.O.最大のワイナリーこそ、あの魔術師こと、サッカー元スペイン代表選手のアンドレス・イニエスタが所有する「ボデガ・イニエスタ」だ。そのボデガ・イニエスタから、マンチュエラの野性味あふれる地品種を巧みに醸造した「コラソン・ロコ ボバル」と、国際市場を意識した外来品種ブレンドの「コラソン・ロコ プレミウム」の2アイテムが新たに登場した!

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サッカーの元スペイン代表選手で、現在Jリーグのヴィッセル神戸に籍を置くアンドレス・イニエスタ。故郷のアルバセーテ県フエンテアルビージャにワイナリーを所有していることは、ワイン通ならずともよく知られるところ。その「ボデガ・イニエスタ」から代表取締役のマルティン・マルティネス・レケーナと醸造責任者のエクトル・マルティネス・ヒメネスが来日。新アイテムのお披露目が行なわれた。

まずはイニエスタがワイナリーを設立した経緯について、マルティンから説明。

もともとイニエスタの両親と一族はブドウ農家で、代々ブドウ栽培に従事していた。いつかは自分たち自身の手でワインも造りたいとの希望を描いていたが、収穫したブドウはすべて協同組合に売り渡していたという。

イニエスタは8歳のときに地元クラブのアルバセテ・バロンピエの下部組織に入団。12歳になった1996年、名門FCバルセロナに移籍する。両親と故郷に恩返しをしたいと考えたイニエスタは、プロになって最初に手にした契約金をブドウ畑の拡張に投資。当初、家族が所有するブドウ畑の面積はわずか10ヘクタールにすぎなかったが、00年頃には110ヘクタールにもなり、ワイナリーを立ち上げる構想が本格的に動き出した。

アンドレス・イニエスタはビデオレターにて登場。



06年から09年の4ヴィンテージにわたって近隣のワイナリーを使って試験醸造を行ない、10年、待望の自社ワイナリー「ボデガ・イニエスタ」が竣工する。原産地はカスティーリャ・ラ・マンチャ州のD.O.マンチュエラで、このDOの個人ワイナリーとしては最大の規模を誇るという。

ブドウ畑はカブリエル川とその支流フーカル川に囲まれた台地の上にあり、このふたつの川から涼しい風がもたらされる。ほぼ毎日晴れており、雨は少なく、ここ何年かは年間降水量が300ミリにすぎない。メセタの特徴で平地に見えても海抜は高く、700~800メートル。昼夜の寒暖差は大きい。

現在、自社畑の面積は250ヘクタールにも達し、加えて50ヘクタール分を借地。合わせて300ヘクタールのブドウ畑を自社管理で耕作している。樹齢の高い樹は株仕立てで手摘み。新しく植えられた樹は垣根仕立てで、機械収穫にも対応できる。化学肥料や殺虫剤は使わず、一部の畑ではEUの有機栽培認証を取得しているという。

ここで栽培されているブドウ品種は、テンプラニーリョやボバル、ベルデホやマカベオに加えて、シラーやカベルネ・ソーヴィニヨン、ソーヴィニヨン・ブランといった国際品種も多い。

「ワインの海外輸出を念頭に、00年頃から国際的な外来品種の栽培に着手しました。大規模に植え始めたのは04年以降のことです」とマルティン。ワイナリーには、除梗破砕したブドウを粒状のドライアイスで冷やす「ボレアルシステム」を導入。シャルマ式スパークリングワイン用の耐圧タンクや酸素を完全に遮断するボトリングシステムなど、最新の醸造設備を整えている。

さて、今回新たにラインナップに加わり、輸入元の日本リカーから発売されるアイテムは、「コラソン・ロコ・ボバル2017」と「コラソン・ロコ・プレミウム2013」の2種類。ここで醸造責任者のエクトルが登場し、それぞれの解説を行なった。

コラソン・ロコ ボバル 2017(写真右)、コラソン・ロコ プレミウム2013(写真中)。



コラソン・ロコ ボバル 2017
Corazón Loco Bobal 2017

ボバルはマンチュエラと、隣接するバレンシア州のウティエル・レケナのふたつのD.O.で栽培される地品種。株仕立てで栽培されている樹齢70~80年の古木を醸造し、6カ月間樽熟成させたワイン。

粗野で野暮ったいイメージのボバルだが、このワインはタンニンも酸もうまい具合に躾けられている。野生のチェリーやミントの香りも心地よい。

コラソン・ロコ プレミウム 2013
Corazón Loco Premium 2013

シラー40%、カベルネ・ソーヴィニヨン30%、プティ・ヴェルド30%のブレンド。「経験的によい区画がわかってきたので、それらを選別してブレンドしたワイン」とエクトル。垣根仕立てだが、手摘みを行ない、選果。除梗後、ボレアルシステムで冷却し、低温マセレーション。フレンチオークの新樽に移してマロラクティック発酵、熟成を行なった。

黒い果実にかすかなミント香。ハーブやスパイスのフレーバーが複雑に絡み合う。新樽由来の芳ばしいニュアンス。しなやかだが骨格も感じられる味わい。

「イニエスタの名前に便乗することなく、また彼の名を貶めることのない、高品質のワイン造りを目指している」とマルティン。「地元の伝統を踏襲しながら、これからも最新の技術を取り入れていきたい」と語った。

コラソン・ロコ ボバル 2017/希望小売価格2,160円
コラソン・ロコ プレミウム 2013/希望小売価格4,320円(ともに税込み)
輸入元:日本リカー株式会社

Text:Tadayuki Yanagi
Photo:Kentaro Ishibashi