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木原美芽

日本在住/ライター・編集者

東京・神田神保町生まれ。『LEON』、『料理王国』、『WINE-WHAT!?』副編集長などを経て、飲食旅専業のライター・編集者。介護経験から薬食同源の重要性を痛感し、国際中医薬膳師資格を取得。また琉球料理を学ぶため、毎月沖縄へ通う。趣味は猫と暗室作業。Instagram(@mimekihara)

2017.12.18
column

イタリア・ボッテガ社による平和に捧げる美術展「Spirit of Peace」が、広島で開催

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この11月25日から12月10日までの約2週間、広島市内の3つの美術館で、イタリア・ボッテガ社による平和に捧げる美術展「Spirit of Peace」が同時開催された。同社社長サンドロ・ボッテガ氏は、2015年に被爆70周年を迎えた広島を訪問。原爆ドームや広島平和記念資料館を訪れ、人生観が変わるほどの衝撃を受けたという。

この経験から、ボッテガ氏は被爆地の平和への願いを世界に届けたいと、グラッパ「PEACE FOR HIROSHIMA」、プロセッコ「PEACE FOR THE WORLD」を製造。チャリティー事業としてその販売収益の全額を、広島市の平和推進事業のために寄付することを決めた。この2製品のボトルは、いずれも平和のシンボル・鳩をモチーフにデザインされている。

グラッパ「PEACE FOR HIROSHIMA」とプロセッコ「PEACE FOR THE WORLD」。前者のボトルの内部にはガラス製の鳩が飾られている。添えられたカードには広島の歴史を記載。

今回の美術展は、同チャリティー事業から派生し、平和をテーマとしたヴェネツィア工芸ガラス作品を展示したもの。ボッテガ社は自社工房に10名ほどの職人を抱え、ヴェネツィア工芸ガラスの手法を使って手吹きのアートボトルなどを製造するなど、ヴェネツィア工芸ガラスに対する造詣が深い。
「広島が世界に発信する平和というものを、ヴェネツィア工芸ガラスという、壊れやすくも美しい、儚いけれど大切な素材で表現したいと考えた」とボッテガ氏は言う。

広島県立美術館にて、サンドロ・ボッテガ氏。白い鳩は、平和への確信を持って上空を飛び、遠くまで平和を届ける力強い使者として姿を表現している。

展示は2部構成で、ひろしま美術館と広島県立美術館では、ヴェネツィア工芸ガラスの巨匠ピノ・シニョレット氏とボッテガ社の職人たちの手による作品「HIROSHIMA FOR WORLD PEACE−−世界平和のためのヒロシマ」を公開。ふたつの美術館の作品は連作で、それぞれ透明の鳩と白色の鳩を中心に据え、“希望の再生”と“平和の飛翔”を表現した。

ひろしま美術館の展示。希望を失って透明になった鳩が、再び力を蓄え飛び立とうとしている様子。周囲のしずく型ボトルの中には、小さくとも力強い芽吹きの様子がガラス細工で表されている。

また広島市現代美術館では、「AQUA DI VITA−−命の水のアート展」が開催され、「PEACE FOR HIROSHIMA」の大型ボトルほか、“命の水”であるグラッパのためのボトルが約80点展示された。

しずく型ボトルのうち、半数には夾竹桃やクスノキ、桜、水芭蕉などの芽や花がガラス細工で表現されている。夾竹桃は、原爆投下後75年は草木も生えないと言われた広島の焦土にいち早く咲いた花で、復興と希望の証として広島市の花に制定されている

グラッパ「PEACE FOR HIROSHIMA」(参考小売価格8,645円)、プロセッコ「PEACE FOR THE WORLD」(同2,351円)は、ヨーロッパ各都市の空港売店他で販売。現在日本では後者のみが広島市内の一部酒販店で販売されているが、今後は各地での販売展開を予定しているという。

■お問い合わせ先:日本酒類販売株式会社 0120-866023