
鳥海美奈子
日本在住/ジャーナリスト
週刊誌記者時代の共著にガン終末期を描いた『去り逝くひとへの最期の手紙』『愛する人への最期の言葉』。2004年からフランス・ブルゴーニュやパリに滞在して以降は、ワインや食についても執筆。著書に『フランス郷土料理の発想と組み立て』『日本ワイナリーの深淵』がある。

北カリフォルニアの感性と京都の豊かな四季の融合を味わう、「SoNoMa by SingleThread」
花街の余韻が残る、宮川町の一角にたたずむホテル「カペラ京都」。伝統と静寂が調和する、洗練されたモダン和建築の空間だ。そのエントランスから奥へと進み、障子の扉を開けると町家の茶室文化を現代的に再構築した空間が広がっていた。オープンキッチンの12席のみのカウンター。清廉な白木が美しい。ここがカリフォルニア、ソノマでミシュラン三つ星を獲得するレストラン「SingleThread(シングルスレッド)」の海外初店舗となる「SoNoMa by SingleThread」だ。
SingleThreadのオーナーシェフのカイル・コノートンは、父の影響で幼いころから和の食材に親しみ、やがて日本料理店で働き始めた。北海道「ミシェル・ブラス トーヤ ジャポン」やイギリスの三つ星「ザ・ファット・ダッグ」で経験を積み、カリフォルニアに「SingleThread」をオープン。農学博士の妻カティーナが農園で育てた大地の恵みを料理で表現するそのスタイルが、世界中で高く評価されている。

「野菜や果物は、完全無農薬栽培です。次世代に土地を引き継ぐこと、さらには農園と食卓を結ぶというのが私たちの哲学です。素材そのものを大事にするという意味では、日本食とも共通点があります」とカイル・コノートンは話す。
そのうえで、京都に「SoNoMa(想乃間)」を展開した意味を、こう語る。「私はカリフォルニアでは日本料理を表現し、反対に京都では、日本の食文化にカリフォルニアテイストを加えているのです」。
その象徴的な一品が、本店のシグネチャー料理「モルテッドポテト」を一番出汁と茶碗蒸しによって京風に解釈した「インカのめざめ」だろう。皿の下層は京料理らしいふるふるした茶碗蒸し、上層は「インカのめざめ」のクリーミーなピュレ、そこに季節の野菜や魚介類があわさるという構造的な一品だ。

日本の現場を仕切る富永敬太は、カリフォルニアで生まれ育った。「父は寿司屋をやっていて土地柄、ワイナリーの人も多く来店しました。2021年に実家の店を継いだあと父が亡くなり、自分なりの道を行きたいと考えた。日本とアメリカの交流を意識しながら働きたいと言ったら、『SingleThread』がいいと薦められたのです」。

「SoNoMa by SinglThread」では本店の理念をベースに、近隣の信頼できる農家から野菜を届けてもらうなど、京都の季節ごとの食材や発酵文化を取り入れている。その北カリフォルニアの感性と京都の豊かな四季の融合を味わうことができる。
カペラ京都「SoNoMa by SingleThread」
住所:京都府京都市東山区小松町130
電話:075-541-8877 (ホテル代表)
営業時間:17:00~20:00
定休日:日曜日、月曜日
https://www.tablecheck.com/ja/capella-kyoto-sonoma
Text : Minako Toriumi

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