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上田太一

日本在住/編集者・ディレクター

1982年生まれ。慶應義塾大学法学部卒業。番組ディレクターを経て、カフェやコミュニティスペースなど場のプロデュースに携わるgood mornings(株)に参画。2017年より知人らと共同でwelcometodoを設立。編集の視点を活かした様々な空間づくりを軸に、各種メディアで企画や執筆なども手掛ける。趣味は映画、スペイン、クラフトジン。 https://www.welcometodo.com/  instagram(@teaueda

2019.03.11
column

個性派15種類の“ジンの旅”を満喫した、中目黒クラフトジンの夕べ。

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高架下の再開発やスターバックスの新業態登場などで、目黒川沿いを中心にますます活気付く中目黒。

そんな中目黒の喧騒エリアからは少し離れた、駒沢通りの中目黒立体交差点と槍ヶ崎交差点を結ぶ坂の途中でひっそりと店を構えるのが「FORRESTER Spice & Music」。いまはなき原宿の伝説的カレー店「GHEE」の系譜を継ぐ本格的なスパイスカレーと世界各国料理が人気で、地元住民らを中心に厚い支持を得ているお店である。

この店が3年前のオープン当初から、スパイス料理との相性を踏まえて提案し続けているのがクラフトジン。ホテルオークラのトップバーテンダーであった経験をもつ店主の小山匡志さんが独自のセンスで世界中から選び抜いたジンが、多いときには100種類以上ラインナップされている。ここで初めてクラフトジンというカルチャーに触れ、その世界に魅了されるジンラバーも多い。ご多分に漏れず、筆者もそのひとりだ。

そんな「FORRESTER Spice & Music」で、2月末に国内初登場のクラフトジンばかりを集めて、その味わいをジンラバーらと一緒に飲み比べるという貴重なイベントが開催された。

お披露目されたのは、イギリス、ポルトガル、スペイン、デンマークなどから取り寄せた15種類のジン。イベントは2時間、まずは1種類ずつストレートで試飲、最後に軽食と一緒にお気に入りのジンを2杯、各自好きな飲み方で楽しめる。合間に、各ボタニカルの香りを収めたフレーバーキットを使った、クラフトジンに関する簡易なレクチャーも付いてくるという贅沢な内容だ。

「少しずつ皆さんも定番のクラフトジンに親しんできた頃なので、今回はもっと掘り下げて、より振り切ったもの、ユニークでかつおいしさも兼ね備えたジンを揃えました。クラフトジンの面白さをより一層感じて頂ければと思います」。

小山さんによる冒頭の挨拶のとおり、カウンターにズラリと並んだボトルは、その形状やデザインから色味まで、多種多様すぎて、同じジンというカテゴリーに入るのが不思議なほど。15種類すべてはここで網羅できないが、印象的であったジンをいくつか紹介したい。

まずは、参加者全員から驚きの声が上がったイギリス産「APOTECA HORSERADDISH」。メインのボタニカルに使っているのは、なんと西洋ワサビ。ボトルを見ればわかるとおり、どっしりと白濁したジンで、鼻に近づけた瞬間にシャープなワサビの香りが全面に広がる。とはいえ、ジュニパーベリーの風味も立ち、ジンのエッセンスは損なわれてはいない。ソーダで割って飲むと、ジンジャーエールのような爽やかな飲み口に変わるそうだ。

続いてもイギリスからやってきたジン、「KEEPRS COTSWOLD HONEY GIN」。ハニージンと名乗るだけあって、見た目も香りもハチミツ全開。ジュニパーベリーやバニラなど数種類のボタニカルで蒸溜したジンに、生の新鮮なハチミツをブレンドして仕上げているのだそう。トロリとした濃厚な甘みが際立つので、ロックでじっくり飲むのが適している。

ポルトガルのジン「TINTO RED PREMIUM GIN」も強烈な存在感。ポルトガル北部、スペインとの国境沿いにあるヴァレンサという街で蒸溜。フラスコのような試験管を模したボトルからも想像できるように、薬草系リキュールのようで、ハーブ由来の複雑な香りが重なり、なんとも奥行きのある味わい。赤褐色なのは、ブラックベリーやローリエなどのボタニカルを数カ月漬け込んでいるから。ソーダで飲んでもトニックで飲んでも、その妖艶な世界観を充分に味わえる。

このほかにも、デンマークのリンゴから造られる「KONGSGAARD」、春摘みの貴重なファーストフラッシュダージリンをふんだんに使った「JIN DEA」など、味の輪郭がはっきりとし、エッジの利いたジンが次々と登場。

試飲の後は、ビーツのフムスなどスパイスが利いた小皿料理が振る舞われ、おのおの好きなジンをトニックやソーダでリクエスト。15種類にも及んだ“ジンの旅”の余韻に浸り、参加者同士がほろ酔い気分でジントークを楽しんだ。

参加者のひとりで、最近クラフトジンを飲み始めたばかりという、飲食店関係の男性は、「クラフトジンって底が尽きないおもしろさがあるなと再確認できました。造り手の発想がどんどん自由に広がっているのがよく伝わった。ジンによって、ベストな飲み方が変わることもよくわかったし、料理との組み合わせも楽しめそう。これからもっと深めていきたいです」と高揚感たっぷりに会を後にした。

「FORRESTER Spice & Music」では、今後も、こうしたクラフトジンの飲み比べイベントやワークショップを継続的に開催していくそうなので、次回のアナウンスにも期待したい。

早いうちであれば、今回のコラムで紹介したジンもまだ楽しめる可能性が高いので、興味をそそられた方は、ぜひお店を訪ねて実際に味わってみてはいかがだろうか。

<店舗詳細>
FORRESER Spice & Music
住所:東京都目黒区中目黒1−4−21 エグゼクティブ代官山201
営業時間:平日 11:30〜15:30/18:00〜23:00、土日祝 11:30〜23:00、火曜定休
電話:03-6303-4164

Text & Photo:Taichi Ueda