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谷宏美

日本在住/フリーランス ライター

エディター/ライター、ワインバー「ローディ」ソムリエール。ファッション誌の美容エディターを経て、2017年よりフリーに。店の仕入れや現場でのサービスをやりつつ、ワイン&ビューティの分野で取材・執筆を行なう。J.S.A.認定ワインエキスパート。

2018.07.27
column

ローヌワインとスパイスの刺激的なマリアージュ

スパイシーで華やかなアロマをもつローヌワインを、夏にこそ楽しもう!!

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「ローヌワイン×スパイスのプロが造るスパイス料理マリアージュ試飲会」を主催したのは、ローヌの生産者を多く取り扱うワイン輸入元のnakato。代表的なローヌ品種、マルサンヌ、ヴィオニエ、シラー、グルナッシュが主体のワインを5種類ずつ用意し、それぞれエスニックスパイスを使った料理とのマリアージュを試みた。その中でもとくに秀逸だったと思うペアリングを紹介。

■マルサンヌ × 「チャナチャット」
マルサンヌのワインに合わせて用意されたのは、「チャナチャット」。ひよこ豆とジャガイモを、コリアンダー、レッドペッパー、シナモンで風味づけした爽やかな一品。パクチーや香菜(シャンツァイ)としても知られるコリアンダーは、甘く爽やかでほのかに柑橘のニュアンスをもつ種子の部分をスパイスとして使用する。

柑橘類やカリン、アプリコット、白い花の繊細なニュアンスのあるマルサンヌに、コリアンダーやシナモンの上品な甘やかさをもつエキゾチックスパイスを合わせたのは興味深い。

マルサンヌ100%の5種のワインの中で、ドメーヌ コンビエが手がけるクローズ エルミタージュ ブランとのペアリングに一票。アカシアが香りが芳しい、華やかでエレガントな味わいとの相性が良好だ。

クローズ エルミタージュ ブラン “キュヴェ ローラン コンビエ” 2014 ドメーヌ コンビエ
Crozes-Hermitage Blanc “Cuvée Laurent Combier” 2014 Domaine Combier
価格:3,780円

■ヴィオニエ × 「ハリヤリチキン」
アロマティックなぶどう品種として、カリフォルニアやオーストラリアでも人気上昇中のヴィオニエ。香り立つジャスミンやスイカズラ、白桃のように甘美なアロマに惹かれるワイン愛好家も多い。

その華やかなヴィオニエには、「ハリヤリチキン」をペアリング。コリアンダーとグリーンチリを入れたマリネ液に漬け込んで表面をこんがりと焼き上げた、グリーンのチキンという意味の鶏料理。

ドメーヌ ジャン ミシェル ジュランのヴィオニエは、しっかりとした骨格がありながら、飲むと軽快で、食中酒にぴったり。豊かでほのかに甘やかな香りにグリーンチリの清涼感が心地よく調和する。

ヴィオニエ ラ シャンピーヌ V.d.F. コリンヌ ローダニエンヌ 2015 ドメーヌ ジャン ミシェル ジュラン
Viognier La Champine V.d.F. Collines Rhodaniennes 2015 Domaine Jean Michel Gerin
価格:3,348円

■シラー × 「ポークヴィンダルー」
シラーにどんなスパイスを合わせるかは気になるところ。豊かなアロマに加え、適度な酸とタンニンを合わせもつシラーには、ミックススパイスを用いた煮込み「ポークヴィンダルー」が用意された。マスタードシード、カルダモン、シナモン、ブラックペッパー、レッドペッパー、パプリカと7種ものスパイスをブレンドし、辛さと酸味が混在する複雑性のある料理だ。

スパイシーな煮込みとレ ヴァン ド ヴィエンヌのソタナムとのマリアージュは、あとを引くおいしさ。3人の醸造家が銘醸地・セイシュエルの丘を復活させて造ったシラー100%のワインは、ブラックベリーやカシス、ブラックペッパーにレザー、ピートやトリュフといった豊かなアロマが代わる代わる現れ、たくさんのスパイスをミックスしたポークヴィンダルーとの相性が絶妙。

ソタナム I.G.P デ コリンヌ ローダニエンヌ セイシュエル 2013 レ ヴァン ド ヴィエンヌ
Sotanum I.G.P des Collines Rhodaniennes Seyssuel 2013 Les Vins de Vienne
価格:9,612円

■グルナッシュ × 「チキンマライティッカ」
スパイシー品種代表・グルナッシュは、「チキンマライティッカ」とともに。ヨーグルトや牛乳など乳製品に漬け込んでから焼く鶏料理は、口にするとマイルドでクリーミー。ほのかな甘みも感じさせ、やがてピリッとした辛みとほろ苦さが広がる。スイーツの香りづけにも使われるカルダモンが鍵。そこにブラックペッパーが刺激的な辛さを後押しする。

アルザスのマルク クライデンヴァイスがラングドックに移り住んで造るコスティエール ド ニームはカチッとした骨格の中に優しい果実味があふれ、クリーミー&スパイシーなチキンとのコントラストを楽しめる。グルナッシュ、シラー、ムールヴェドル、そして樹齢80年のカリニャンが1/4ずつ入る南仏ブレンドだ。

ペリエール コスティエール ド ニーム 2014 ドメーヌ マルク クライデンヴァイス
Perrieres Costieres De Nimes 2014 Domaine Marc Kreydenweiss
価格:2,376円

シャトー・ヌフ・ド・パプの老舗ドメーヌ ド マルクーがビオデナミで造るヴァン ド フランスは、ともすると粗野になりがちなグルナッシュを軽やかに仕上げたいわばニューウェーブ。濃厚さと軽快さを合わせもつこの料理との相性は格別。

レザン ド ルー ヴァン ド フランス N.V. ドメーヌ ド マルクー
Raisin de Loup Vin de France N.V. Domaine de Marcoux
価格:2,160円

今回のスパイシーフードを考案したのは、そのオリジンを西インドにもち現在は神奈川・鎌倉をベースにスパイスを取り扱う「アナン」のメタ・バラッツ氏。インドのみならずスイスやスペインなどさまざまな国でのキャリアを生かし、新たなスパイスの楽しみ方を提案している。「香りが大きな要素であるワインは、スパイスとの相性が非常によく、そこにコクとうま味をいかに組み合わせるかがポイント。乳製品などを加えることでマリアージュの方程式はさらに広がります」と語る。

ジビエに向くことから、冬のワインというイメージを抱くことの多いローヌワイン。うだる猛暑の今夏、スパイスと合わせてホットに楽しんでみては。

Text&Photo:Hiromi Tani