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相田冬二

日本在住/ライター・ノベライザー

ライター・ノベライザー。映画を中心に、雑誌、ネット、劇場用パンフレットなどに、レビウやインタビュー記事を寄稿。ワイナートでは「WINE CULTURE REVIEW」の映画欄を担当。映画・ドラマのノベライズも手がけ、最新作は『さよならくちびる』(徳間書店)。ワインは白が好き。

2019.10.31
column

ナチュラルワイン生産者の素顔がそこに! ドキュメンタリー映画2本が公開

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 ヴァン・ナチュールをめぐるワインドキュメンタリー2本が<映画で旅する自然派ワイン>の特集タイトルで公開される。
 まず1本はアメリカ映画『ジョージア、ワインが生まれたところ』。これはワインの始原とされるジョージアで、ワイン造りに携わる人々を取材した作品。素焼きの壺を土に埋め、葡萄と野生酵母によって発酵させる伝統的手法「クヴェヴリ製法」にスポットを当て、その歴史と現在を紐解く。
 ワイン造りそのものを追うのではなく、伝統を受け継ぎ現代に根付かせる人々の想いをすくい取る。女性監督エミリー・レイルズバックが、夫であるソムリエ、ジェレミー・クインを案内役に繰り広げる映像世界には、エッセイの趣が。その素朴さはジョージアの地と人とワインの関係にも通じていて、ジョージアワインへの興味と親近感がより一層増すはず。シャイなジョージアの人々に考慮してのiPhone撮影も、ナチュラルなテイスト創出に貢献している。
 もう1本はフランス映画『ワイン・コーリング』。こちらは一転して、スタイリッシュでポップな仕上がり。南フランス、ルーション地方。自然派ワインのパイオニア、ジャン・フランソワ・ニックの許に集まる「同士」とも言えるワインメーカーたちの情熱を見つめる。彼ら彼女らの生き様は、ある意味ロック。あるいはパンク。農薬や化学肥料を拒否し、手間ひまかけることから理想を見出す姿は、インディーズミュージシャンのよう。そのガッツある取り組みは、ワインを既存のイメージから解き放つパッションに満ちあふれている。
 肌触りは好対照ながら、いずれもワイン造りとは「生きる姿勢」なのだということがしっかり伝わる作品。人が造って、人が飲む。ワインという「生きもの」の魅力に、スクリーンで触れてみてはいかがだろう。
 公開は11月1日から。東京・シネスイッチ銀座、アップリンク渋谷、アップリンク吉祥寺ほか、全国順次ロードショーされていく。

「ジョージア、ワインが生まれたところ」
監督・撮影・編集:エミリー・レイルズバック
出演:ジェレミー・クイン、他 配給:アップリンク ©Emily Railsback c/o Music Box Films

「ワイン・コーリング」
監督:ブリュノ・ソヴァール
出演:ジャン・フランソワ・ニック、他 配給:クロックワークス ©PINTXOS2018

【映画で旅する自然派ワイン 公式HP】
https://www.uplink.co.jp/winefes/