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谷宏美

日本在住/フリーランス ライター

エディター/ライター、ワインバー「ローディ」ソムリエール。ファッション誌の美容エディターを経て、2017年よりフリーに。店の仕入れや現場でのサービスをやりつつ、ワイン&ビューティの分野で取材・執筆を行なう。J.S.A.認定ワインエキスパート。

2020.02.13
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ボルドー右岸のメルロが創り出す多様なスタイル

ボルドー右岸の赤ワイン産地として知られる、サン・テミリオン、ポムロール、フロンサック地区。メルロを主役に、さまざまなテロワールからバラエティに富んだ味わいのワインを生み出す。そんな右岸のワインはペアリングの楽しみも広がる。

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サン・テミリオン、ポムロール、フロンサックワイン委員会ディレクター、フランク・ビナール氏が来日し、そのペアリングを実証するイベントを開催。「フレンチ割烹 ドミニク・コルビ」シェフのドミニク・コルビ氏と「ホテルニューオータニ」エグゼクティブ シェフ ソムリエの谷 宜英氏というかつて同じレストランにいたふたりによるペアリングが実現した。

サン・テミリオン、ポムロール、フロンサック地区はドルドーニュ川の右岸に位置し、畑の総面積は約12,000ha。大陸性気候の影響を受け、左岸に比べると標高が高い。粘土質土壌が中心となるため、成熟の早いメルロを中心にカベルネ・フランやカベルネ・ソーヴィニヨンが栽培されている。

プルミエ・グラン・クリュ・クラッセなど瀟洒な格付けシャトーが存在するサン・テミリオン地区や、彗星のごとくあらわれた“シンデレラワイン”を輩出するポムロール地区を有するため、高級ワイン産地のイメージもあるかもしれない。けれど約1500の栽培農家の中には家族経営のワイナリーも多く、小規模生産でクオリティの高いワイン造りを実現してきた。新樽内でマロラクティック発酵を行なう生産者も多いが、少量ずつ仕込むからこそ可能な技術だ。

早くから楽しめるものや長熟タイプなどスタイルはさまざまだが、共通しているのはいずれもフードフレンドリーなこと。和とフレンチが融合したコルビシェフの料理に合わせて2015年ヴィンテージ6種類が用意され、「年間を通して気温が高く、秋に適度な降雨があり、果実味が豊かでバランスのとれた仕上がり」と谷ソムリエの解説から、ペアリングのイベントがスタートした。

1)
フォアグラのポアレ
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シャトー・オー・ジャマー 2015(AOC リュサック・サン・テミリオン)

ペリゴール産フォアグラにバターでソテーしたあんぽ柿。フォアグラの産地に近いリュサック・サン・テミリオンをペアリング。ラズベリージャムのような果実味に加え、しなやかなタンニンが好相性。

2)
キノコのスープと蛤
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シャトー・オー・グージョン 2015(AOCモンターニュ・サン・テミリオン)

蛤のスープでとった国産マイタケのポタージュ。キノコの土っぽいニュアンスに、アーシーなアロマ。モンターニュ・サン・テミリオンは標高の高さからくるキリッとした酸も特徴。

3)
甘鯛のポワレ 赤ワインのソース
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シャトー・トゥルヌフィーユ 2015(AOC ラランド・ド・ポムロール)

フランス産ジロール茸と日本のアワビ茸を付け合わせに、ウロコを香ばしく仕上げた甘鯛に、フォンドボーを加えた濃厚なワインのソース。緻密でなめらかなタンニンをもつラランド・ド・ポムロールが絶妙にマッチ。

4)
穴子の茶碗蒸し
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シャトー・レ・ロシェ・ド・フェラン 2015(AOC フロンサック)

煮穴子に落花生の一種、おおまさりをあしらった茶碗蒸しに、わさびをアクセント。アタックはソフトながら後半に収斂性のあるフロンサックは、穴子のうま味と脂をキュッと引き締めて心地よいアフターを残してくれるペアリング。

5)
蝦夷鹿と季節の野菜
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シャトー・ラ・ローズ・コート・ロル 2015(AOC サン・テミリオン・グラン・クリュ)

朴葉の香ばしさが漂う、絶妙な火入れの蝦夷鹿のロースト。こちらには平均樹齢50年という古木のグラン・クリュを合わせて。メルロ75%、カベルネ・フラン15%、カベルネ・ソーヴィニヨン9%にマルベックを1%というブレンドによる複雑な味わいが厚みのある味わいを醸し出す。

6)
リゾットトリュフ
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シャトー・ラルマンド 2015(AOC サン・テミリオン・グラン・クリュ クラッセ)

コルビシェフ自ら、白トリュフをスライスしてくれるリゾット。芳醇な香りが立ち込める。こちらにも同様にサン・テミリオン・グラン・クリュをペアリング。熟成した果実やスパイス、なめし革といった複雑味を帯びたワインとは至福のペアリングだ。

ミクロクリマやバラエティに富んだ土壌、そして人が生み出す味わいの奥深さ。サン・テミリオン、ポムロール、フロンサック地区のワインには、底知れない魅力がある。

フレンチ割烹ドミニク・コルビ
東京都港区新橋2-15-13 エレガンス新橋ビル5F
Tel:03-6457-9934
Open:18:00〜23:00(ディナー18:00〜/コース、バー21:00/アラカルト)
日、月休
http://dominique-corby.com

Text & Photo:Hiromi Tani