昨年来のコロナ禍で、ワイン業界もさまざまなイベントが中止となり、また新たなイベントの開催もむずかしい日々が続いている。そんな中、７月10日（土）にコロナ禍以降初のワイナート主催イベント「フランチャコルタ通になる！ オンラインセミナー」が、フランチャコルタ協会後援で開催された。

講師はワインジャーナリストの宮嶋勲氏。イタリアといえば、そしてフランチャコルタといえば宮嶋氏、といえるほどイタリア各地のワインの広報的存在。今年1月に刊行されたワイナート増刊『飲んで、旅して、知識を深める イタリアワイン生産者ガイド100』を執筆し、フランチャコルタ協会のアドバイザーとしても務める。

今回のセミナーは30名限定、参加費無料、フランチャコルタ協会後援でフランチャコルタのボトルが１本プレゼントというだけに予想以上の応募があり、画面上にお顔出しで参加された皆さんは相当ラッキーな方々となった。同時に、かなりの上級者揃いのようで、事前に募った質問数も多く、中でもシャンパーニュとの違いに関する質問が数多く寄せられた。

じつはフランチャコルタの歴史は浅く、イタリア北部、ミラノのあるロンバルディア州東部のこの地で瓶内二次発酵のスパークリングワインを造り始めたのが1961年。近年は日本でもワインショップをはじめECサイトで手軽に入手ができるようになり、また飲める機会も増え、フランスのシャンパーニュやスペインのカバと同じ瓶内二次発酵のスパークリングワインであることを知る人も増えてきた。

しかし、カバに比べて価格は高く、多くはシャンパーニュに匹敵するレベルの価格帯で販売されている。それだけに、多くの人はフランチャコルタとシャンパーニュは何がどう違うの？ という疑問をもつ。

今回のセミナーはそんな疑問も解消するべく、フランチャコルタの解説がなされた。その中から、シャンパーニュと際立って異なる点を、フランチャコルタのキーワードとして挙げてみる。

✔️氷堆石土壌
✔️昼夜の気温差がある温暖な気候
✔️使用品種にピノ・ビアンコ、エルバマットもある
✔️シャンパーニュの5％の希少な生産量
✔️フランチャコルタ独自名称「サテン」（弱ガス圧）
✔️イキイキしたやわらかい酸
✔️食事に寄り添う食中酒

温暖化の影響を受け、3〜5年ほど前から使用品種に地場品種であるエルバマットが加わったというトピックスをはじめ、歴史、マーケット、テロワール、品種、味わい、食文化からワインツーリズムまで多岐に渡る内容を、宮嶋氏はシャンパーニュと比較しながら解説。ある程度ワインの知識のある人には、より理解しやすいセミナーだった。

このような内容に基づいた上で、宮嶋氏はフランチャコルタを次のようにまとめた。

「氷河が運んできた複雑な土壌とテロワールから生まれる華やかなアロマ、やさしくイキイキした酸、ふくよかな果実味。これがフランチャコルタのキャラクターなんです。フランチャコルタの人たちは、シャンパーニュに引けを取らない品質を自負しています。確かにそうです。ただ生産量はシャンパーニュには遥かに及びません。だから、このキャラクターが好き、好みの味わいだと感じる人に飲んでもらえると、フランチャコルタの人は嬉しいんです」。

筆者個人的には、フランチャコルタに馴染みがあり、その地を訪れたことがあるにもかかわらず、初めてテロワールや味わいの特質に関して合点のいく解説を聞くことができ、ここまで明確にシャンパーニュとの違いを認識できたのは大きな収穫だった。また、フランチャコルタ協会公認のグラスはなぜこのフォルムなのか（華やかなアロマを生かし、優しい泡立ちで食中酒としての価値を高めたいから）もよくわかった。

今回のみと言わず、今後もこのように産地を掘り下げるオンラインセミナーが開催されることを大いに期待したい。

フランチャコルタは東京・有楽町のフランチャコルタバーでさまざまな種類を楽しめるほか、7月21日（水）〜26日（月）に伊勢丹新宿店で開催される「世界を旅するワイン展」でも購入可能。通販サイト「Felicity」では8月8日までフランチャコルタ協会公認の専用グラスなどが当たるキャンペーンを実施している。

フランチャコルタ協会
https://www.franciacorta.net/ja/

「世界を旅するワイン展」
https://www.mistore.jp/shopping/feature/foods_f3/tabiwine_f.html
（東京都緊急事態宣言につき、ワインの試飲は中止）

Felicity
https://www.miraido-onlineshop.com/

Franciacorta Bar
東京都千代田区有楽町2-5-1 阪急メンズ東京3F
（東京都緊急事態宣言中は臨時休業）

Text：Tae Sugimoto