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吉田恵理子

フランス在住/ライター・エッセイスト

ライター・エッセイスト。フランス、パリ在住。 HEG(美食に関する最先端研究機関)卒、WSETアドヴァンスト、SSA酒ソムリエ。著書『ランチタイムが楽しみなフランス人たち』(産業編集センター)、『ワインを飲めばすべてうまくいく 仕事から恋愛まで起こる10のいいこと』(インプレスICE新書)。

2021.09.27
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食の祭典「オムニヴォール・フード・フェスティバル パリ」開催

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コロナ禍以来、パリでも食関連のイベントや試飲会などがことごとく中止されていたが、やっとこの秋から再開。オムニヴォール・フードフェスティバルもそのひとつで、9月9日から11日までパリ12区のパーク・フローラル展示場で開かれた。

2006年にスタートした人気イベントで、今年で16回目。3日間の会期中には、ティエリー・マルクスやミラズールのマウロ・コラグレコなど、メディアでおなじみの有名シェフをはじめとする、200人の料理人・パティシエ・飲料関係者によるデモやマスタークラス、トークショーが行なわれた。

本誌最新号(106号)「今月の人」で登場したMOFバーマン、クリストフ・ダヴォワンヌもマスタークラスに登場。サントリーのジン、ウイスキーを使った独創的なカクテルを紹介した。熟練のスーパーテクニックに、会場は歓声にわいた。

会場内には30人のシェフが腕をふるうフードコートやクラフトビール、ワインなどの販売もあり、プロのみならず、一般客も楽しめる充実の内容。ここでしか口にできない限定メニューをめがけ、つねに長蛇の列ができていた。

この週末は、晴れ続き。テラスは、さわやかな秋の風を感じながらランチを楽しむ人でいっぱい。

フランスでもクラフトビールが大流行中! Ninkasiはリヨンの人気ブリューワリー。カップはデポジット制で、エコロジーも心がける。

MATTEIはコルシカのバスティア生まれのベルモット。セドラというレモンの祖先にあたる大きな柑橘を使用している。ほろ苦くさわやかなクセになる味。

イベントの目玉として、その年に活躍した人を選出する「ル・プリ・オムニヴォール」がある。今年はプリ・ドヌール(名誉賞)にミシェル・ブラスが選ばれ、そのプレゼンテーションをピエール・ガニエールが務めた。フランス料理界の大御所2名の登場に、会場内ではスタンディングオベーションが起こった。

食品・飲料関係のブースも多く出ており、訪れる人々の興味を引いていた。ワインでは、ボルドーワイン委員会とシャンパーニュ・ルイナールが出展。

昨今のノンアルコール需要を反映して、ノンアルコール飲料のブースが多かったのも印象的だった。

ベルギーのGimberのブース。ショウガベースのノンアルコール濃縮ジュース。そのままソーダやトニックで割ってノンアルコールカクテルとして楽しむほか、カクテルや料理の素材としても使える。

コニャックのメーカーが作るBourgoin Verjusは、もともとコニャック用に育てられていたユニ・ブランを早摘みして作ったジュース。酸が強く、レモンの代用品としても使える。甘みが少なく、さっぱりして美味。

現在、フランスでもオーガニック愛好者を中心に人気急上昇中のコンブチャ。昆布茶ではなく、じつはなつかしの紅茶きのこだと知って驚く。UCHAのコンブチャは、素材を厳選。甘さ控えめで、「身体に美容にいいことづくし」とのこと。

日本食ブームの続くフランスでは、食材をはじめ、日本酒や焼酎を買い求める人が増えている。オムニヴォールでも、日本関係のブースは人気を集めていた。

パリ郊外の醸造所で、フランス産の材料を使って日本酒造りをするWAKAZE。アルコール度低めで、軽やかな飲み心地。ワインにも似た「フランス人の味覚を考えた日本酒」。ハーブやブルゴーニュの樽を使用した独自のフレーバーも楽しい。

さまざまな日本食材を扱うユーロジャパンクロッシング、UMAMIのブース。生のワサビや漬物の試食に、有名シェフも興味深々で立ち寄っていた。日本酒、ユズ酒、また人気漫画がボトルに描かれた焼酎も並ぶ。「小さなボトルに入った日本酒などは、かわいいので手に取る方が多いです」と担当者。

開催中、連日の大にぎわいに、グルメ・シティとしてのパリの復活を、肌身をもって感じることができた。

Photo & Text : Eriko Yoshida