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谷宏美

日本在住/フリーランス ライター

エディター/ライター。ファッション誌の美容エディターを経て、2017年よりフリーに。渋谷のワインバー「ローディ」で店の仕入れや現場でのサービスをやりつつ、ワイン&ビューティの分野で取材・執筆を行なう。J.S.A.認定ワインエキスパート。バタークリームとあんこは飲み物。

2023.06.13
column

京都で堪能するNYのモダンフレンチ「 Jean-Georges at The Shinmonzen(ジャン-ジョルジュ アット ザ シンモンゼン)」

京都にまたひとつ、美食とワインのスポットが誕生。祇園白川を臨む新門前通りに佇むラグジュアリーブティックホテル「The Shinmonzen(ザ シンモンゼン)」に、モダンフレンチのマエストロ、シェフのジャン-ジョルジュが手がけるダイニングがオープンした。宿泊ゲストだけでなくビジターも、世界のグルマンたちをも唸らせる料理をこの小さなレストランで楽しむことができる。

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骨董店や古美術商が軒を連ねる新門前通り。安藤忠雄氏のデザインによるThe Shinmonzen(ザ シンモンゼン)は、町家の趣きを残しつつ、館内至るところに現代アートのコレクションを配したわずか9室のラグジュアリーホテル。2023年3月、ここにニューヨークを拠点に世界各地でモダンフレンチを展開するジャン-ジョルジュのレストランがグランドオープン。

おなじみのシグニチャーメニューが含まれたディナーコースと、世界ではロンドンとここだけという朝食を用意して、京都を訪れるゲストに提供する。姉妹ホテルであるフランス・プロヴァンスのヴィラ・ラ・コストが所有するシャトー・ラ・コストのワインが楽しめるのも魅力だ。

シェフのジャン-ジョルジュ・ヴォンゲリステン。仏アルザス出身。
ストラスブールのオーベルジュ・ド・リルを始めフランス国内やバンコクのレストランを経て、
1991年、ニューヨークに自身の店をオープン。
以後、世界約60カ所に星付きレストランを展開する。

ジャン-ジョルジュといえばスパイスや香草を多用して食材のおいしさを引き出す独創的なフレンチで知られ、ユズや山椒といった日本の素材も使いこなしてきた。「栽培に優れた土壌で育つ京野菜はミネラルやビタミンが豊富で、野菜本来のうま味がたっぷり。肉や魚、また豆腐などの大豆製品も突出した味わいで、地元の生産者たちから届けられる食材を生かし、京都ならではの料理を提供したい」と語る。

筆者が訪れたのは春先。メニューに並んでいたのは、京の味覚の筆頭格であるアマダイや丹波産の平井牛。キッチンを預かるのはHana Yoonシェフで、ニューヨーク本店で実績を積み、28歳にして京都の総料理長に抜擢されたのだそう。

アミューズ3品。
左から 生ウニのトースト、マグロのヌードル、マスとクリスピーライス


エッグトースト キャビア ハーブ京丹波


京丹波 平井牛のテンダーロイン 大根とケール マスタード

ディナーコースはアミューズからデセールまでの8皿で24,000円(税サ込み)。マグロを細長くカットしたスペシャリテ「ツナ リボン」は、「ツナヌードル 生姜風味」としてアミューズのひと品でサービスされる。

ジャン-ジョルジュのシグニチャーといえばキャビアを使ったメニュー。現在のコースでは前菜のエッグトーストの主役として登場。低温で24時間かけて調理した卵黄を挟んだパンにシブレットやチャービル、ディルがたっぷり。

メインの肉料理はダシで煮込んだ大根、素揚げしたケールとともに供される京丹波の平井牛のテンダーロイン。表面はキャラメリゼして香ばしく仕上げ、中は芸術的なまでの火入れが見事だ。ダシをベースにしたソースにマスタードも添えられ、おでんを彷彿させるプレゼンテーションともいえる。

ビルカール・サルモン ラベル ジャン-ジョルジュ ブリュット レゼルヴ N.V.

ニューオープンのレストランはワインの所蔵が充分でない場合もあるが、ここJean-Georges at The Shinmonzenのセラーにはじつに3000本が蓄えられ、セレクトを手伝ってくれる敏腕ソムリエがいるから安心して足を運んでほしい。

シェフソムリエを務めるのは老舗イタリアンや高級ホテルダイニングでのキャリアとインターナショナルなソムリエ資格をもつ今井亮介氏。ワインリストには注目のマイナーアペラシオンも含めたフランスのAOCからニューワールド、食後酒まで幅広くラインナップされ、著名な造り手のグラン・ヴァンも充実しているが、「東欧のセレクションや日本ワインの品揃えも増やし、クリーンな味わいのナチュラルワインも厳選して、バイザグラスでも楽しめるようにしたい」と今井氏。海外からのゲストも多いため、日本の常識に捉われないセレクトを心がけるという。

ハウスシャンパーニュは、ジャン-ジョルジュラベルのビルカール・サルモン ブリュット レゼルヴ N.V.。ビルカール・サルモンの名前入りのキュヴェをもつレストランはジャン-ジョルジュと仏ヴァランスのメゾン・ピックのみだそうで、特別な日のアペリティフにもぴったり。

シャトー・ラ・コストのラインナップ。
左から ロゼ・スパークリング、グラン・ヴァン ブラン、
グラン・ヴァン ロゼ、グラン・ヴァン ルージュ 

ここに来たら、プロヴァンスのオーガニックワイン、シャトー・ラ・コストはオーダーしたい。130ヘクタールの有機栽培のブドウ畑と安藤忠雄氏設計のレストラン、そして広大な敷地の中に数々のオブジェやアートピースを所有するワイナリーだ。

ここJean-Georges at The Shinmonzenで扱うトップキュヴェはシャルドネとヴェルメンティーノをブレンドした白ワイン、シラーとカベルネ・ソーヴィニヨンから造られる赤ワインともに古木の区画から手摘みで収穫、自然酵母で発酵後、長期の樽熟成と瓶熟成を経たもの。南仏特有のガリーグの香りとガストロノミックな料理に合う複層的な味わいが印象的だ。

古木のグルナッシュとシラーから造るロゼワインはセニエのスタイル。フレッシュな果実感がありつつも骨格がしっかりとしたプレミアムなロゼだ。グルナッシュとサンソーのロゼ・スパークリングは締め泡にもよさそう。京都にいながらにして、南仏の風を感じるに違いない。

ペアリングは基本的に泡、白2、赤1、の4グラスの構成だが、好みや飲める量に応じて臨機応変に対応してくれるので決まった料金はない。さまざまな食材が代わる代わる登場し、スパイスやハーブの香り豊かなコースメニューは、いろいろなワインを合わせてみたくなるはず。お宝ワインも隠れている圧巻のワインリストから飲みたいボトルを選ぶもよし、料理に合わせてペアリングしてもらうのもよし。

厳選されたワイン千年の歴史をもつ古都と、ジャン-ジョルジュというアーティスト肌の料理人が織りなす、唯一無二の魅惑の食体験。これを目的に、京都に出かけてみてはどうだろう。

【Jean-Georges at The Shinmonzen】
住所:京都府京都市東山区新門前通西之町235
営業時間:18:00〜23:00(L.O. 21:00)
Tel:075-600-2055
公式サイト:https://theshinmonzen.com/jp/dining/

Photo:Ben Richards, Hiromi Tani