
岩本順子 Junko Iwamoto
ドイツ在住/ ライター・翻訳家
ライター・翻訳家。ドイツ、ハンブルク在住。1999年にドイツの醸造所で研修。2013年にWSETディプロマ取得。著書に『おいしいワインが出来た!』(講談社)、『ドイツワイン・偉大なる造り手たちの肖像』(新宿書房)、ドイツワイン・ケナー資格試験用教本内のテキスト『ドイツワイン・ナビゲーター』などがある。 http://www.junkoiwamoto.com

醸造家の道を選択した女性たち〜ドイツ・ハンブルク発 世界のワイン情報 vol.47
ザビーネ・モスバッハー、アンナ=バルバラ・アヒャム、テレザ・ブロイアー、エファ・クリュセラート=ヴィットマン、カロリン・シュパニア=ジロー、マイケ&ドルテ・ネーケル姉妹、エファ・フリッケ、ツェツィリア・ヨースト、ザンドラ・ザウアー、ユリア・バルテス、坂田千枝……。ドイツで活躍中の女性醸造家の名前なら、まだいくらでも思いつく。
ドイツワインの広報機関、ドイツワイン・インスティテュート(DWI)の報告によると、2015~19年の醸造所実習生における女性の割合は24%だったが、2020~24年は30%に増加しているという。19年以降、毎年平均86人の女性が醸造家養成のための教育課程で学び始めているという数字もある。ガイゼンハイム大学の栽培・醸造学部では、2024/2025年度に新たに入学した169人の学生のうち、46%を女性が占めていた。
現実には、醸造所実習生の全体数は減少傾向にあり、後継者不足は相変わらず深刻な問題となっているが、女性が醸造所を継いだり、醸造家となって活躍しているというニュースも飛び込んでくる。従来は、男性が栽培・醸造を、女性が広報・販売を担当するのが一般的だったが、最近では、その逆のパターンや、パートナーがともに醸造家であるというケースも増えている。専門誌などで、女性の醸造家がクローズアップされる頻度も多くなっているようだ。
昨年、DWIは初めて、女性醸造家にフォーカスしたプレスツアーを実施した。以下、ツアーで訪問した醸造家、女性当主らを紹介する。
(以下カッコ内は、ワイナリー名 / 所在地 / 所有畑面積)
■ラインヘッセン地方
・マルティーナ・ベルンハルト=ファツィ
(Weingut Bernhard ベルンハルト醸造所 / ヴォルフスハイム / 25ha)
マルティーナ・ベルンハルト=ファツィは、1990年創業のベルンハルト醸造所を、父ヨルクとともに率いる。彼女にとって、自然との調和を大切にしたワイン造りは自明のことだった。そのため、父を説得してビオを実践、2020年にビオディナミに移行した。

マルティーナは、祖母が手入れをしていた家庭菜園を鮮明に記憶しており、そのイメージがビオ移行へのヒントになったという。「安心して働ける畑を次世代に残したい」というのが彼女の願いだ。
醸造専門学校を卒業し、栽培・醸造技術士の資格をもつが、「教科書通りにワインを造ってもおいしくならない」と実感し、たとえばスキンコンタクトの時間を試行錯誤するなどして、畑の個性が表現された、味わい豊かなワインを生み出している。「オーガニック栽培のブドウのアロマは、通常栽培よりも深く豊かなはず」と確信、それをいかにして引き出すかが彼女の課題だ。

マルティーナは社会活動にもコミットし、女性の連帯を願って「Sisters in Wine Club」というブランド&クラブも興した。マリー・キュリーやフリーダ・カーロなど、それぞれの分野で確かな業績を残した女性たちの名前を冠したワインを6種類リリースし、売上の一部を、NGOに寄付している。23年からは、あらゆる暴力の危険に晒されている女性たちを支援する「LAND-GRAZIEN」というNGOのパートナーとなっている。
・クリスティーネ・フフ
(Weingut Fritz Ekkehard Huff フリッツ・エッケハルト・フフ醸造所 / ニアシュタイン・シュヴァーブスブルク / 10ha)
クリスティーネ・フフは、醸造学を修め、VDP会員のケラー醸造所やアルディンガー醸造所、ドメーヌ・ルジューヌで経験を積んだ。手作業を重視し、栽培、醸造のあらゆる過程で、最善かつ自然に近い手法を選択するのが信条だ。

実家は創業1819年の伝統ある醸造所。クリスチーネと、ニュージーランド出身で同じく醸造家の夫、ジェレミー・バード=フフは、2012年に醸造所を継いだ。ラインフロントの著名なリースリングの畑を所有し、それぞれの畑の個性をワインに表現しようと努める。
印象深かった23年産の「ラーベントゥルム」は、ニアシュタインの畑、シュロス・シュヴァーブスブルクの樹齢50~80年のリースリングから造られたワイン。ローターハング(赤い斜面)と呼ばれる、ロートリーゲント土壌の畑のもっとも古い区画で、ポテンシャルは高い。クリスティーネが古樹と優れた土壌の性質を学びながら、全力投球した逸品だ。

クリスティーネがVDPレベルのワイン造りに専念する一方で、ジェレミーは独自ブランド「バード」をもち、彼の故郷の代表品種であるソーヴィニヨン・ブラン、ソーヴィニヨン・グリなどをリリース。ニュージーランドらしさを感じる、伝統から解き放たれたワイン造りに取り組んでいる。
・ユリア・シットラー
(Vereinigte Weingüter Schittler & Becker シットラー&ベッカー合同醸造所 / ツォルンハイム / 60ha)
2015年からシットラー&ベッカー合同醸造所を率いるのは、9代目当主のユリア・シットラー。醸造技術専門学校を卒業後、バックパッカーとして世界を見聞したのち、故郷に戻ってきた。両親、同じく醸造家の夫、弟のドミニクも醸造所に参画しており、10名のスタッフを抱える。60haの醸造所で指揮を取る彼女は「男たちのバックアップがあってこそ運営が可能」と率直に語る。

©Deutsches Weininstitut
ユリアは19年にヴィーヌム誌の若手醸造家賞(Talent des Jahres)に輝き、注目を浴びた。目下の関心事は、ポテンシャルの高いツォルンハイムの優良畑、ゴッテスガルテンのリースリングやピノ・ノワール、グルデンモルゲンのピノ・ブランやジルヴァーナーの品質に磨きをかけることだ。
彼女は、実験的なワインではなく、自らの筆跡が表現できるようなワイン、それぞれの畑や品種の個性が表現されるワインを目指す。植物、昆虫、動物、岩石など、ワインを生み出す環境が描かれたエティケットを見ると、彼女の世界観が一目でわかる。

心動かされたのは、24年産のムスカテラ。50%を全房圧搾。華やかすぎない、抑制された風味が魅力的なワインだ。ユリアはPIWI品種に対してもオープンな考えで、PIWI品種のスペシャリスト、エファ・フォルマーの助言を得て、ソヴィニエ・グリを栽培している。
■ナーエ地方
・パウリーネ・バウムベルガー=ブラント
(Weingut Baumberger-Brand バウムベルガー=ブラント醸造所 / マンデル / 16ha)
パウリーネ・バウムベルガー=ブラントの実家は、1855年創業の醸造所。弟が醸造所を継ぐ予定だったため、彼女はコミュニケーションデザインを学んだ。パリでグラフィックデザイナーとして働いていたとき、ヴァン・ナチュールと出会った。「こんなワインを自分でも造ることができたら……」という思いがつのり、実家に戻ることを決めたという。

2019年、パウリーネは醸造家の弟、カールと一緒に「GLOW GLOW」というナチュラルワインのブランドを興した。夫のヨナスは醸造家だが、パウリーネ自身もノイシュタットのワインキャンパスで学び、醸造家となった。「グラフィックデザインの業界では、午前中に出したデザインが午後には完成形になるという慌ただしいリズムで働いていた。ワイン造りには時間をかけることが大切だと日々学んでいる」そう彼女は語る。
ヴァイスブルグンダー、シャルドネ、ムスカテラ、シュペートブルグンダーなど「GLOW GLOW」のナチュラルワインは多彩で、ナーエ地方の多彩な土壌の性質が生かされた、ピュアで輝きのある味わいが魅力だ。カルボニック・マセレーションなども取り入れ、「ワインに何も加えず、ワインから何も奪わず、純粋さと鮮烈さを閉じ込めたい」という彼らの想いをストレートに表現している。洗練されたデザインのエティケットには、パウリーネの美意識が反映されている。

ふたりの思い切った転向は、両親をも感化した。23年ヴィンテージからは、醸造所の従来の伝統的なワインの生産をやめ、全所有畑から「GLOW GLOW」を醸造している。
・ドリス・エメリッヒ=ケーベルニック、クリスチアーネ・ケーベルニック
(Weingut Emmerich Köbernik エメリッヒ=ケーベルニック醸造所 / ヴァルトベッケルハイム / 16ha)
1730年創業の醸造所の8代目、ドリス・エメリッヒ=ケーベルニックは、16歳で醸造家修業を始め、専門学校で学び、男性たちと同様にワイン造りの現場で働いてきた、女性醸造家の先駆者のひとりだ。「農家の女性たちは、昔から自立していたのよ。何よりも仕事が優先、という空気があり、必要な仕事を当たり前のこととして淡々と行なってきた」と語る。

ドリスは1981年に醸造家のエルンスト・ギュンター・ケーベルニックと結婚、ふたりで醸造所エメリッヒ=ケーベルニックを牽引し、誠実なワインを造り続けてきた、醸造家カップルの先駆けでもある。両親に続こうとしているのが、次女のクリスチアーネだ。2012年にガイゼンハイム大学の国際ワイン経済学を卒業し、チリで修業した後、9代目として醸造所に加わった。
クリスチアーネが立ち上げた、ワインブランドが「Bock auf Wein(ボック・アウフ・ヴァイン)」だ。ドイツ語で「ワインを飲みたい」という意味で、「Bock auf ……(……したい)」は俗語的言い回し。「ボック」は本来、ノロジカやアイベックスを意味し、狩猟家でもあるクリスチアーネのブランドのシンボルとしてエチケットに描かれている。

「Bock auf Rut & Wiess」 はシュペートブルグンダーのブラン・ド・ノワール、
「Bock auf Weiss & Grau」はヴァイスブルグンダーとグラウブルグンダーのキュヴェ。
リースリングもジルヴァーナーも、ブレンドワインも、ステンレスタンク90%、バリック10%で醸造。ナーエ地方の土壌の個性を引き出したミネラル感のある味わいに、ほんのりオークのエッセンスが加わる。親しみやすい名前にも助けられ、「Bock auf Wein」は着実にファンを増やしている。
・カロリン・ディール
(Schlossgut Diel シュロスグート・ディール / ブルク・ライエン / 25ha)
カロリン・ディールは創業1802年の醸造所の7代目、初の女性当主である。父アルミンは、先代が栽培していた交配品種をすべてやめ、リースリングとブルゴーニュ品種にフォーカスしたワイン造りに取り組み、1989年にVDPに加入した。ジャーナリストでもあるアルミンの仕事は醸造所にとって革新的だった。

カロリンは10代のときにボルドーのシャトー・ピション・ロングヴィル・コンテス・ド・ラランドの元オーナー、メイ=エリアーヌ・ド・ランクサンの元で実習した経験をもつ。シャトーを低迷から救った経営者の模範である夫人との出会いは、彼女の人生において決定的な出来事だった。「ランクサン夫人は、夢を叶えるために忍耐強く努力し続けることの大切さを教えてくれた」、そうカロリンは語る。
アルミンは栽培・醸造には関わらなかったが、カロリンは畑とセラーで働くことを選んだ。ガイゼンハイム大学で栽培と醸造を学び、実家に戻る2006年にまでに、ルイナール、ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ、ロバート・ヴァイルなどの著名ワイナリー、南アフリカとニュージーランドで研鑽を積んだ。19年にフランス人の夫、シルヴァン・トリソンとともに醸造所を継ぎ、彼女がワイン造りを、彼が広報と販売を担当している。
ふたりはナーエ地方の土壌の個性が表現された、オーセンティックで長期熟成が可能なワインを生み出していきたいという。醸造所は現在ビオに移行中だ。ドルスハイムのゴルトロッホ、ピッターメンヒエン、ブルクベルクの3つの畑のリースリングは威厳にあふれ、世界中に愛好家をもつ。

『ファルスタッフ』誌他から最優秀醸造家賞をいくつも受賞しているカロリンは、シュペートブルグンダーにおいてもその才能を発揮。厳選したブドウを手作業で除梗、自ら発酵槽に入り、肌でマイシェの温度を感じながらピジャージュするなど、こだわりをもってワインを造り上げている。
■モーゼル地方
・ダニエラ・アルテン、ユリア・アルテン
(Weingut Alten アルテン醸造所 / デッツェム / 8ha)
モーゼル中流地域のデッツェムにある醸造所では、2代目のクラウス、ドロテ夫妻、3代目のダニエラ、ユリア姉妹の2世代が一丸となってワイン造りに取り組んでいる。ダニエラは当初経営学を、ユリアはファッションデザインを学んだが、それぞれに実家の醸造所の方が自らの能力や創造性をより発揮できることに気づき、複数の醸造所で経験を積んで戻ってきたという。

©Deutsches Weininstitut
現在、おもにワイン造りを担当しているのは、醸造専門学校を終えた長女のダニエラだ。ワインの純粋さを追求し、不必要な介入や清澄処理を行なわず、ワインを「本物」として仕上げることに力を注ぐ。1本1本のワインが、産地の個性を明確に反映し、物語を見せてくれるようであって欲しいと願う。
一家は、2018年には倉庫を改修、モダンなシュトラウスヴィルトシャフト(季節限定の居酒屋)を開業した。都会のカフェのような内装で、いまや近郊の若手醸造家たちのワインイベントの会場として活用されている、人気スポットだ。姉妹は「ワインのおもしろさに気づき始めている若い人たちに、モーゼルワインのよさと、すばらしい若手醸造家たちがいることを知らせたい」と意気込む。ウォーキング・ツアーも積極的に行なっている。
印象深かったのが、デッツェムの急傾斜畑、マキシミーナー・クロースターライのリースリング、カビネットの優雅さと浮遊感。シャルドネやヴァイスブルグンダー、シュペートブルグンダー、PIWI品種ソヴィニエ・グリからも繊細かつ優雅なワインを生み出している。

・レナ・エンデスフェルダー
(Weingut Endesfelder エンデスフェルダー醸造所 / メーリング / 4ha)
モーゼル地方の中心地トリーアにほど近い、メーリングのエンデスフェルダー醸造所では、コルドゥラ、ザラ、レナの3人の女性たちが醸造所を運営している。1984年に、コルドゥラと夫ミヒャエルが親戚の醸造所を引き継ぎ、樽ワインの生産をやめてボトリングを開始、醸造所を変革した。しかし2011年、ミヒャエルはトラクター事故で急逝する。
悩み抜いた末、コルドゥラは醸造所を続けることを決意、近隣に住む醸造家たちが助けの手を差し伸べてくれたという。やがてふたりの娘たちも醸造所で働き始めた。母コルドゥラは接客と事務を担当、姉ザラは頼もしいオールラウンダー、ガイゼンハイム大学を卒業した妹のレナは、ワイン造りに力を注ぐ。「母はビジョンをもち、リスクに立ち向かっていく女性」、そう娘たちは語る。醸造所にはシュトラウスヴィルトシャフトと休暇用のアパートも整い、ホスピタリティ精神あふれる居心地のよい場所となっている。

急傾斜畑のリースリングはいずれも土壌の個性を充分に発揮している。メーリングのブラッテンベルクは熟した果実が香り、ツェラーベルクはミネラル感にあふれ、デッツェムのマキシミーナー・クロースターライはエキゾチックな風味が魅力だ。チャレンジ精神旺盛なレナは、近隣の醸造家たちと情報交換しながら、2023年のフックスライで初めて自然発酵に挑戦した。「土壌は自分の肌のように大切に扱うべき」と語るレナの言葉が、心に響いた。

・カテリーナ・グランス
(Weingut Grans-Fassian グランス=ファシアン醸造所 / ライヴェン / 13ha)
カテリーナは、創業1624年の伝統ある醸造所、グランス=ファシアンの13代目。2017年に父ゲアハルトから醸造所を引き継ぎ、父が築いた名声に磨きをかける、初の女性当主であり、醸造家だ。ガイゼンハイム大学で栽培、醸造学を学び、モンペリエ大学でブドウ栽培・醸造学修士号を取得、ラインガウのVDP醸造所キュンストラーやナパで経験を積んだ。

父ゲアハルトは1982年に醸造所と4haの畑を継ぐと、特級畑を少しづつ購入して13 haに増やし、辛口ワインへと舵を切った。栽培品種は90%がリースリング、平均樹齢は40年を超える。2001年にVDP加入を果たした。
ライヴェンの畑、ラウレンティウスライは、灰色スレート岩土壌で自根のリースリングが多く、柑橘系の風味が魅力的だ。トリッテンハイムのアポテーケは青色スレート岩土壌で、黄色い果実の風味、ピースポートのゴルトトロップヒェンも青色スレート岩土壌だが、果実味にハーバル系の風味が加わる。
カテリーナのワインには光り輝くものがある。父が確立したスタイルを、より軽快でより繊細で、よりピュアなものにするため、収穫を少し早めに行ない酸度や繊細さを守るなど、小さな変革を行なっている、貴腐菌を徹底して排除し樽を導入しないのも、究極のピュアさを追求するがゆえの決断だ。

カテリーナは、個々の畑の個性を引き出し、ミネラル感を湛えた長期熟成タイプのリースリングを醸造することに、情熱をかけている。そのため生産ワインの4分の1はセラーで瓶熟させ、飲み頃にリリースしている。
・ソフィア・ターニッシュ
(Weingut Wwe. Dr. H. Thanisch, Erben Wwe・ドクター・H・ターニッシュ / ベルンカステル・クース / 9ha)
ターニッシュ家の歴史は1636年まで遡ることができる。現在の醸造所名、Wwe・ドクター・H・ターニッシュは、1895年に夫フーゴー(Hugo)を亡くした妻、カタリーナの代からのもので、Wwe.は未亡人(Witwe)の略語だ。カタリーナは1910年のVDP設立の際のメンバーであり、ワインの品質向上に大きく貢献した先駆的な女性だった。
ターニッシュ家では、カタリーナ以来、つねに女性が家業を継いでいることで知られる。現在は、カタリーナから数えて4代目にあたるソフィア・ターニッシュが当主を務める。ソフィアの娘クリスチーナは、5代目として醸造所を継ぐことになっており、ガイゼンハイム大学で国際ワイン経済学を修め、2018年から醸造所に勤務している。

©Deutsches Weininstitut
ターニッシュ家は、世界中にその名が知られるベルンカステルの特級畑、グラーベン、バードシュトゥーベ、ドクターから、気品あふれるワインを生み出してきた。ところにより斜度70%に達するスレート岩土壌の畑では、リースリングだけが栽培され、現在もなお、樹齢60年を超える自根ブドウが多く育てられている。1960~90年代にかけて、女たちが世に出すワインはおもに米国で大変な人気を博し、一時は輸出が95%を占めていたこともある。
ソフィアにも、徹底した品質管理の精神は引き継がれている。絶妙のタイミングで行なわれる手摘み収穫、完璧なブドウだけを自然の酵母で発酵に導き、でき上がるリースリングは、充実した風味をもち、驚くほど軽快だ。モーゼル地方のワインの伝統を守り、カビネットやシュペートレーゼなどの残糖のあるワインが大半を占める。辛口ワインが当たり前となった現在、清らかで高貴な残糖のあるワインは、低アルコールであることからも、新たなファンを増やしつつある。

Text & Photo : Junko Iwamoto

![[ワイナート]The Magazine for Wine Lovers](https://winart.jp/winart_kanri/file/img/common/img_header_winart.png)






















