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谷宏美

日本在住/フリーランス ライター

エディター/ライター。ファッション誌の編集部を経て、2017年よりフリーに。国内外の産地を巡り、ノンアルワインからブランデーまで、酒と食と旅にまつわる記事を執筆。J.S.A.認定ワインエキスパート。バタークリームとあんこは飲み物。

2026.04.02
column

モルドバワイン200種が一堂に。「第2回 モルドバ・ヴェルニサージュ」開催

日本最大級のモルドバワインイベント「ワイン・オブ・モルドバ・ヴェルニサージュ」が、2025年11月4日、東京で開催された。第2回となる今回は200種類以上のモルドバワインが一堂に会し、産地の多様性と現在地を体感できる貴重な機会となった。

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2024年に続き、第2回目の開催となったモルドバ・ヴェルニサージュ。今回は、未輸入も含めて前回を上回る24のワイナリーが参加。来賓として、モルドバ農業・食品産業省事務次官セルジウ・ゲルチウ氏、駐日モルドバ共和国大使ドゥミトル・ソコラン氏、日本・モルドバ友好議員連盟会長の林芳正氏、Sakura Awardディレクター田辺由美氏らが参列し、両国の友好関係を背景に、ワインを通じた文化交流の意義も強調された。

(左)ウェルカムワインは、ラダチーニのカベルネ・ソーヴィニヨンによる
ブラン・ド・ノワール「ブラン・ド・カベルネ スパークリング」。
(右)稲葉が輸入するシャトー・ヴァルテリはシャルマ方式のスパークリングワインからヴィオリカ、サペラヴィ、
ボルドーブレンドにアイスワインまで幅広いラインナップ。

中欧といわれるモルドバでは多彩な固有品種が栽培されている。白ブドウでは、爽やかな酸が特徴的なフェテアスカ・レガーラや柔らかな質感を有するフェテアスカ・アルバが知られているが、この日は耐寒性のあるモルドバの交配品種、ヴィオリカが多く見られた。華やかなアロマと豊かな果実感で近年注目を集めている。代表的な黒ブドウ、フェテアスカ・ネアグラは濃厚な色とスパイシーなフレーバー、緻密なタンニンが魅力。ララ・ネアグラはよりしなやかな果実実で個性を放つ。さらに、ジョージア原産の固有品種サペラヴィも多く見られるほか、カベルネ・ソーヴィニヨンやメルロといった欧州系品種も生産されており、ブースでは骨格とボディを兼ね備えた完成度の高いワインが披露された。

(左)欧州系品種が主体のアスコニ。こちらは日本未輸入のシリーズ、ソル・ネグラのソーヴィニヨン・ブラン。
(右)Gitana WineryのフラッグシップLUPIは、カベルネ・ソーヴィニヨン、サペラヴィ、メルロのブレンド。

主催であるワイン・オブ・モルドバ・ジャパン代表の遠藤エレナ氏は、モルドバワインの強みとして「黒海の影響を受けた穏やかな気候と肥沃な土壌による恵まれたテロワール」を挙げる。「自然環境によりブドウは健やかに育ち、過度な介入を必要としない。結果として生まれるワインは、力強さを誇示するのではなく、料理に寄り添うスタイル。和食や日本の家庭料理とも相性がよく、日常の食卓で自然に楽しめる存在になり得る」。価格帯では1,000〜2,000円台の商品での品質が評価されつつあり、次の段階として3,000〜5,000円台でテロワールの個性や造りの丁寧さを伝えていく考えだ。将来的には熟成ポテンシャルを備えたプレミアムカテゴリーにも展開の余地を見据えるが、まずは「日常の中で信頼を積み重ねることが重要」と語る。

在モルドバ日本国大使館の設立に寄与し、現在は日本でモルドバのワイン文化の普及に務める遠藤エレナ氏。

将来的に珍しい国のワインや特別なワインという認識を超えて、売り場で自然に選ばれる存在になることを目標として掲げる。「フランスやイタリア、カリフォルニアといったなじみの産地のワインと並び、ごく当たり前の選択肢として棚に置かれるのが理想」。本イベントは、そのための基盤づくりとして、モルドバワインを日本の市場へと着実に紹介していく取り組みの一環となっているといえる。

モルドバワインをいち早く輸入したアグリ(左)とユウ・コーポレーション(右)。



モルドバ出身のアーティストが伝統音楽とダンスを披露。
会場となった明治記念館のシェフによる郷土料理も用意され、ゲストはモルドバのムードを楽しんだ。



Text : Hiromi Tani
Photo : Hiromi Tani, Wine of Moldova Japan