ワインボトルに表れるE.ギガルのこだわり アーティストがボトルの中に見たローヌ渓谷を吹き抜ける風
ガラスで表現されるワインボトルは工芸品である。アーティストの麹谷宏が、E.ギガルの「コート·デュ·ローヌ ロゼ」の新しいボトルに着目、デザインに込められた意味を考察する。
© E.Guigal
ワインの愉しみは、そのボトルのたたずまいを目にしたときから始まっている。ガラスの色、フォルムの形状、それを飾るエチケット。どのような畑のブドウをどんな造り手が醸したのか、蔵を発ってからいかなる道をたどってこの場に至ったのか、中を満たす液体の生い立ちに思いを馳せる。
ひと目見て好ましく思うこともあれば、そのときの気分でないこともある。だが、刷新したE.ギガルのコート・デュ・ローヌロゼのボトルに心を奪われることは必至だ。内側に波打つようなスパイラルのカッティングが施され、飲み進めて液面が下がるにつれてそのラインがくっきりと姿を見せる、従来にないデザインに息を飲む。
「ボトルの中に風が吹いているかのよう」。ヴェネツィアグラスの本場ムラーノや琉球ガラスの工房でワインクーラーやデキャンタの制作を行なう麹谷宏は評す。
「エチケットの裏に隠れながらも徐々に透けて見えてくるエレガントなウェーブは、ローヌ渓谷をダイナミックに吹き抜けるミストラルのイメージ。勢いよく舞う冷たい風が高品質のブドウを育む、そんな想像が膨らみ、この洗練されたロゼの味わいがより広がる」。
ボトルを傾けたとき、瓶底に刻まれたラインに気付いてまた驚く。広域アペラシオンのボトルにここまで技巧をこらすのも、ローヌの名手のこだわり。自身の眼で、そして舌で、それを感じてみてほしい。
コート·デュ·ローヌ ロゼ 2020 E.ギガル
Côtes du Rhône Rosé2020 E.Guigal
フランボワーズやチェリーにフローラルのアロマ。フレッシュながら芯の通った造りで、果実味の中に厚みも感じさせる。グルナッシュ70%、サンソー20%、シラー10%。(2,200円/新デザインのボトルは2020年ヴィンテージより採用)
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Photo : Michinori Aoki
Text : Hiromi Tani