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2021.09.07
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時を超えて輝く「無限」。フランスの高貴なる食卓芸術とレア・シャンパーニュ2008

シェフ・ド・カーヴ、レジス・カミュの認めた年にのみ発表される。まさにその名の通りの希少さから、ワインファンの羨望を集め続けるレア・シャンパーニュ。ついに2008年ヴィンテージが発表となった。

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フランスが誇る文化のひとつに、アール・ド・ラ・ターブル(食卓芸術)がある。日々の食事を、ただ食べるだけではなく芸術にまで引き上げる技術。それは、料理のみならず、テーブルウェア、サービス、空間、時間のすべてを包括する総合芸術である。その最高峰に位置するのが、シャンパーニュとセーヴル焼だといえよう。

今年6月8日にパリのアヴリーヌ・ギャラリーで行なわれたレア・シャンパーニュ2008年ヴィンテージローンチ・セミナーは、そのふたつを同時に体験できる、非常に貴重な機会であった。秋の世界同時発売を前に、世界ワイン関係者がオンラインでセミナーに参加。もっとも幸運だったのは、筆者も含めパリの会場に直接赴くことができた人々だ。

 

(左)セミナー会場となったパリのアヴリーヌ・ギャラリーは、エリゼ宮殿(仏大統領官邸)に隣接。
(右)現地メディアを招いたセミナーでは、ギャラリー全体の見学も行われた。

 

当日ギャラリーでは、セーヴル焼の過去と現在を食卓の再現を通して楽しめる『盛大なおもてなし』展が行なわれていた。これは、今年末までセーヴル陶器美術館で行なわれている『テーブルへ! 食事は芸術』展に合わせた特別展。両展は20年が、「フランスの美食」ユネスコ世界無形遺産登録10周年、またセーヴル製陶所創設280周年であったことを記念したもの。

アヴリーヌ・ギャラリーのオーナー、マレラ・ロッシは、この唯一無二の企画展のパートナーとして、レア・シャンパーニュ2008を選んだ。

 

 

フランスの至宝ともいえるセーヴル焼は、1740年に国王ルイ15世がヴァンセンヌ城内に工房を開設したのが始まり。その後、公妾ポンパドール夫人の庇護を受け、パリ郊外セーヴルに国立製陶所が設立された。

フランス革命後は、ナポレオンが製陶所を保護。その技術は、現在に至るまで大切に保持され、各国要人への贈答品、また重要な会食時に使用されたりと、影なる歴史の立役者として活躍してきた。現大統領エマニュエル・マクロンが、就任の直後に食器一式をセーヴル製陶所に依頼したのは記憶に新しい。

優雅なフランスの食文化を
「無限」に紡ぎつづける

シェフ・ド・カーヴのレジス・カミュは、このヴィンテージを「infini (アンフィニ=無限)」と形容した。キラキラと輝くゴールドの色合い。冷涼な気候が造り上げた、まっすぐに伸びる、麗しさと強さを合わせもつ酸。溌剌としたミネラル、フローラルかつエキゾチック・フルーツを感じさせるフレッシュなアロマ。そして、美しく長い余韻。この、いつまでも続くような余韻の長さが、「無限」という言葉を引き出したという。

 

レジス・カミュ/Régis Camus
2018 年5 月よりレア・シャンパーニュ専任シェフ・ド・カーヴ。
IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)
スパークリングワインメーカー・オブ・ザ・イヤーを8回受賞。
© Olivier Ortion

 

ギャラリーのマレラ・ロッシに、今回レア・シャンパーニュ2008を選んだ理由を聞いた。

「このテーブルを見てください。セーヴル焼を中心としたセッティングに、レアは何の違和感もなく溶け込んでいるでしょう? フランスの食卓芸術そのものを表現するシャンパーニュなのです」。

 

ギャラリーの展示の一部。クラシックな家具やシャンデリアなどの装飾品、
モダンなセーヴル焼のテーブルウェアが絶妙に融合。
レア・シャンパーニュは、その中で眩いばかりの存在感を放つ。
貴族の煌びやかな食卓を垣間見るようだ。

 

ギャラリーでは、ナポレオンの妹ポーリーヌの夫であったカミッロ・フィリッポ・ボルゲーゼの邸宅で使われていた作品から、現代フランスを代表するグラフィック・アーティスト、フィリップ・アペロワといった作家の近年の作品までが、同じ空間に馴染んでいた。長いセーヴル焼の歴史の中、時代やテイストが変化しても、芯となる製法や美意識は確固として存在するためだ。

「最近では、アンティークが見直されていて、またセーヴル焼の人気が再燃しています」とロッシ。永遠の時を生きるセーヴル焼と、「無限」の称号を与えられたレア2008は、その概念を共有しているのである。

 

レア シャンパーニュ 2008
Rare Champagne 2008

 

2006年に続くリリース。冬季は非常に温暖で雨が多かったが、6月半ばの開花時期には爽やかな気候となり、夏の天候も良好。育成期全体を通じ、過去10 年の平均気温より低く、フレッシュで活力とミネラルにあふれる長熟のヴィンテージに。

[商品のお問い合わせ先]
日本リカー株式会社
Tel : 03-5643-9770
http://www.nlwine.com

Photo : Anthony Dorfmann
Text : Eriko Yoshida