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2025.12.05
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イタリア、フランチャコルタで注目すべき7軒

小誌2026年冬号(123号/2025年12月5日発売)では、「食中酒として楽しむフランチャコルタ」と題し、現地取材記事を掲載。訪問をした10軒のうち、本誌では個性が光る3軒を紹介しているが、そのほかの7軒をここに取り上げる。

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RICCI CURBASTRO
リッチ・クルバストロ

リッチ・クルバストロ家はロマーニャ地方出身の貴族で、現当主のグアルベルトで18代目。1885年から、すでにワイン造りを行なっていた。1967年のフランチャコルタDOCの設立にも携わった。敷地内にはワイン博物館もあり、昔からこの地方で使われてきた農機具やワイン醸造のための機器など、貴重な資料を見ることができる。

兄で当主のグアルベルト(右)と弟で醸造家のフィリッポ(左)。

ワイナリーには、グラヴィティ・システムを採用。瓶内熟成にかける期間を長めにとっており、基本の「フランチャコルタ ブリュット」でも最低24カ月は熟成する。まさに正統派といえる、バランスのとれた味わい。添加する亜硫酸塩量を減らすべく、酵母から抽出したプロテインをデゴルジュマンの際に添加し抗酸化作用を加えるなど、革新的な試みも行なっている。

ワインには、「フィレッシュさとミネラルを追求している」とグアルベルト。

Mosnel
モスネル

1836年からこの地でワイン造りを続ける、名門バルボリオ家の伝統を受け継ぐワイナリー。先代のエマヌエラ・バルツァノ・バルボリオは、1968年にフランチャコルタDOCが制定されたのに合わせ、高品質なブドウを生み出すべく自社畑を整えた。モスネルとは、「石が多く集まる場所」の意味。畑にはゴロゴロとした石が多くみられ、この地が氷堆石土壌であることがよくわかる。現在は、エマヌエラの子供であるジュリオとルチアがワイナリーを守る。

ジュリオ(右)が栽培醸造、ルチア(左)は経営管理などを担当している。

16世紀に建てられたワイナリーの周囲に41haの畑を所有し、自社畑のブドウのみ使用。環境に深い関心をもっていた先代の意思を継ぎ、11年前から有機栽培を実践。すべてのベースワインに、一部樽熟成のワインを使用している。美しい酸と几帳面な構成がみられる、上品なフランチャコルタである。

「EBB」(中央)は先代の名前のイニシャル。古樹のシャルドネ100%、
ベースワインはすべて樽熟成。多くの賞を受ける、ワイナリーを代表するワインだ。

Antica Fratta
アンティカ・フラッタ

グイド・ベルルッキとともに、この地域でフランチャコルタを誕生させた醸造家フランコ・ジリアーニが、1979年に荒廃していたワイナリーを購入。もともと赤ワインの産地だったモンティチェッリ・ブルサーティの土地の冷涼な気候と石灰土壌に可能性を求め、フランチャコルタの生産を始めた。自社畑の標高は350〜500mと高い。50haの畑のうち、半分がピノ・ノワールだ。生産本数は年間20万本。

販売などを担当するアンドレア・アッサネッリは、
フランコ・ジリアーニの孫にあたる。

自社畑のブドウのベースワインは樽熟成。リザーヴワインも造っており、ソレラ式や、アンフォラなど、新しい試みも積極的に行なう。すべてのワインを、デゴルジュマンのあと最低6カ月熟成させてから出荷する。華やかでボディのしっかりしたフランチャコルタは、食事との相性もよさそうだ。

ドザージュは最低限に抑えている。
「将来はすべてのワインをゼロ・ドザージュにするかもしれない」とアッサネッリ。

Ca’del Bosco
カ・デル・ボスコ

1964年創業の、フランチャコルタにおけるパイオニア。創業者のマウリツィオ・ザネッラが70年代前半にシャンパーニュの名門メゾンで経験を積んだ醸造家を招聘し、瓶内二次発酵スパークリングの技術を取り入れた。フランチャコルタにある19のうちの10のコムーネに畑を所有し、総畑面積は283ha。

創業者のマウリツィオ・ザネッラ。狼は、ワイナリーの守り神的存在だという。

クリーンでエレガントなスタイルは、徹底した酸化防止策から生まれる。収穫、選果のあとには、「ベリースパ」と呼ばれる果実洗浄ラインで、ブドウをすべて洗う。洗浄により酸化の可能性を下げることで、醸造工程での亜硫酸添加量を減らせる。また、エレベーター式タンクによるグラヴィティ・システムも利用。最近、地下23mに新しいカーヴをオープンし、フランチャコルタを五感で楽しめるアトラクションも登場。敷地内にはアート作品も多くあり、一般客も楽しく訪問できる。

「糖分を低くすると果実の味がわかる」というポリシーから、残糖量はどれも少なく仕上げられる。
「ヴィンテージ・コレクション サテン 2020」は、
ラベル表示はDOCG規定にそってブリュットとなっているが、実際には残糖量0.5g/ℓ。

Romantica
ロマンティカ

ガルダ湖畔で1931年からワイン造りを続けるアヴァンチ家が、2006年にパシラーノで開業。フランチャコルタを造るのが家族の長年の夢で、15年間にわたって土地を探し求めたという。9.2haの畑が、ワイナリーを取り囲むように広がる。自社ブドウのみ使用、年間生産数6万本の家族経営ブティックワイナリー。

共同経営者で海外輸出担当のニコラ・アヴァンチ。
醸造は従兄弟のジュゼッペが担当。

シャルドネに力を入れており、畑面積の9割を占める。シャルドネの純粋さを引き出すスタイルを追い求めており、全生産本数の3分の1はブラン・ド・ブランだ。ノンヴィンテージの生産はなく、すべてミッレジマート。その年の特徴を、忠実に表現するワイをのみを生み出す。クリーンで調和のとれた、安心感あふれるフランチャコルタは、誰からも愛されそうなスタイル。また、フードフレンドリーなのも特長だ。

透明感とともに明るさを感じるフランチャコルタ。
「ロマンティカ」は、現在のワイナリーを取得した日に、
家族で乾杯しながらみた夕陽がとてもロマンティックだったことから。

Elsabetta Abrami
エリザベッタ・アブラミ

自動車関連事業を営んでいたエリザベッタが、ワインへの情熱から転業。2000年にワイナリーを設立し、フランチャコルタ造りをはじめた。現在は息子のジョゼッペとの二人三脚。自社ブドウのみを使用し、年間6万本を生産する。

創業者のエリザベッタ(左)と息子のジョゼッペ(右)。

もともとオーガニック農業への関心が高かったため、ブドウ畑を生きている生命体であると考え、設立当初から有機栽培。「生きたフランチャコルタを飲みたい」との願望から、醸造段階での介入もできるだけ減らしている。「イタリア人にとって食卓を囲むのはとても大事なこと。食事にあう力強いフランチャコルタであるために、ピノ・ネーロに注力している」とエリザベッタ。香りも味もパンチがありパワフル。伝統的なイタリア料理にも負けない、個性的なフランチャコルタである。

「農作物である果汁からできるワインを飲みたい」と、
セラーで使う材料はすべて植物起源のものを選択。

Muratori
ムラトーリ

生地販売業を営むムラトーリ家が、1950年にアードロのヴィッラ・クレスピアを購入。2000年代前後に畑を買い求め、ワイナリーを設立した。所有する畑は、5つのコムーネに分散する54ha。フランチャコルタにある6つのタイプの土壌をすべてもち、これにより「フランチャコルタのすべてが詰まったワインを造ることができる」という。品種では、シャルドネに重きを置いている。

広報マーケティングを担当するミケーラ・ムラトーリ。

2020年ヴィンテージからは、有名醸造家のリッカルド・コタレッラをコンサルタントに迎え、栽培からワインのスタイルまでを一新。ワイン名も、これまでの「ヴィッラ・クレスピア」から、「ムラトーリ」に変更。従来の重めの造りを見直し、フレッシュで繊細なスタイルを目指すようになった。軽やかで、モダンなイメージのワインだ。

シグネチャーワインであるブリュットには、
6タイプそれぞれの土壌で育てたブドウで造ったベースワインをアッサンブラージュ。



Photo : Consozio Franciacorta, Eriko Yoshida
Text : Eriko Yoshida