新たな飲み手も虜にする イエローラベルの本質を抽出したキュヴェ
ランスのメゾン、ヴーヴ・クリコから新たなキュヴェが登場した。
メゾンのスタイルを保ちつつ、ドザージュを控えめに仕上げたというそれは、
まさにイエローラベルのエッセンスを、ピュアに表現したものだった。
ドミニク・ドゥマルヴィル
Dominique Demarville
ブルゴーニュ大学で醸造学のディプロマを取得。ほかのメゾンで最高醸造責任者を務め、2006年、ヴーヴ・クリコに入社。3年かけてジャック・ペテルスよりすべてを受け継ぎ、09年、第10代最高醸造責任者に就任。
ピノ・ノワールを主体としたふくよかなで厚みのあるボディと、高い比率のリザーヴワインがもたらす複雑で重層的な味わい。
これがヴーヴ・クリコというメゾンのスタイルであり、イメージでもある。しかし、2009年から最高醸造責任者を務めるドミニク・ドゥマルヴィルは、新しい嗜好をもつシャンパーニュ愛飲家を引き込むには、なにか新しいアプローチが必要だと考えた。
「最近はドザージュの少ないシャンパーニュを好む人たちが増えてきました。イエローラベルのアイデンティティを損なうことなく、そのような飲み手を満足させられるキュヴェを造ることはできないか。そこで思いついたのが、リザーヴワインのみのアッサンブラージュです」。
ドザージュの少ないシャンパーニュは、しばしば酸がギスギスしがち。これではヴーヴ・クリコらしさが出ない。
しかし、澱とともに熟成させたヴーヴ・クリコのリザーヴワインなら、クリーミーでシルキーなテクスチャーが得られ、低ドザージュでもバランスを保つことが可能となる。
思い出すのは、前任のジャック・ペテルスが引退にあたり、後継者のドミニクを連れて最後の来日を果たした08年のこと。
ドミニクに、ヴーヴ・クリコに来て驚いたことは何かと尋ねると、第一に挙げたのがリザーヴワインの豊富さだった。
「歴代の最高醸造責任者に感謝しなければなりません。私が入社した頃、ヴーヴ・クリコにはクリュ、品種、収穫年ごとに分けられた沢山のリザーヴワインが12カ年分ありました。私はこの感動を次の世代にも伝えたいと思い、リザーヴワインのコレクションをさらに増やすことにしました。現在、メゾンには450種類、17カ年分のリザーヴワインがあります」と、ドミニクは話す。
こうして登場した最新キュヴェの「エクストラ ブリュット エクストラオールド」は、最低でも6年熟成させた6つの収穫年のリザーヴワインをアッサンブラージュ。
その収穫年とは2010年、09年、08年、06年、96年、88年で、およそ20のクリュが含まれている。
その主だったものを挙げると、ピノ・ノワールがヴェルジィとブージィ、ムニエがヴィル・ドマンジュ、シャルドネがメニル、ヴェルテュ、ヴィレール・マルムリィ、コート・デ・ブラン、それにトレパイユ。
これらはまさに、イエローラベルにおいて要となるクリュである。
さて、肝心のドザージュは3グラム。
エクストラ・ブリュットの範疇である0〜5グラムまで6種類のドザージュを試し、ブラインドテイスティングによって決定。
ドザージュ・ゼロではドライ過ぎ、ヴーヴ・クリコ本来の包容力に欠けたと言う。
エクストラ ブリュット エクストラ オールドは、イエローラベルの柔らかみや複雑性を保ちつつ、フレッシュ感とピュアさを備えたキュヴェ。
昨今の軽やかながら風味豊かなガストロノミーなら、食前からメインまで通して楽しめそうだ。
エクストラ ブリュット
エクストラ オールド
Extra Brut Extra Old
ピノ・ノワール47%、シャルドネ27%、ムニエ26%。
13年に瓶詰め、16年に澱抜き。
レモンピール、白桃、ミツロウ、ジンジャーブレッド、ブリオッシュなどのアロマ。
4.5気圧のアタックは柔らかく、シルキーでクリーミーな口当たり。
ピュアでストレートな味わい。
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