ワインの世界では小さければ小さいほど尊ばれがちだが、シャンパーニュではこれがつねに当てはまるとは限らない。天候が安定しないこの地方では、豊富なリソースを有する大規模メゾンの方が、むしろアドバンテージは大きい。

「サン・ガール」は1966年に設立されたユニオン・シャンパーニュの最上位ブランド。15のコーペラティヴで構成され、ブドウ畑の総面積は1400ヘクタールにも及ぶ。そのうち実に90パーセントがグラン・クリュとプルミエ・クリュに格付けされており、とくにコート・デ・ブランのシャルドネを得意とする。

広大なブドウ畑の中から厳選に厳選を重ね、選び抜かれたひと握りのブドウから造られるサン・ガールの最高峰が「オルパール」。コート・デ・ブランのグラン・クリュでもとりわけ秀逸とされる、クラマン、アヴィーズ、オジェ、メニル・シュール・オジェのシャルドネを使用。シェフ・ド・カーヴを務めるセドリック・ジャコパンの職人的手法により、究極なまでにエレガントさを追求したブラン・ド・ブランだ。

10年以上の長期熟成を施しながら、新鮮味を微塵も失わないのは、ブドウの品質と3割にとどめられたマロラクティック発酵の賜物。リカルド・ユリンをはじめ、多くの専門家が太鼓判を押すのも納得である。

オルパール ブラン・ド・ブラン
グラン・クリュ ブリュット 2004

Orpale Blanc de Blancs
Grand Cru Brut 2004

西洋サンザシなど白い花にレモングラスや火打ち石の香り。はつらつとした酸味がテンションを生み、ミネラルとはかくや、と思わせる。繊細にしてじつにエレガントなブラン・ド・ブラン。（27,500円）

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Text：Tadayuki Yanagi