ラベルの液だれに表された、フロンティアスピリッツの継承
ナパ・ヴァレー最古のワイナリーのひとつを再生させたパルマッツ・ヴィンヤード。 ラベルについたワインの液だれは、前オーナーのフロンティアスピリッツを継承すべく 現オーナーのフリオ・パルマッツがあえてデザインの一部として取り入れたものだった。
伝統とテクノロジーの
シームレスな融合
アルゼンチン出身の医師、フリオ・パルマッツは1977年に家族とともに渡米。カリフォルニア大学デイヴィス校での研修中にワインと出会い、いつしか自分もこの地でワインを造りたいと思うようになった。その夢が実現したのは97年。禁酒法以来80年近くも打ち捨てられていたセダル・クノール・ヴィンヤードを入手し、8年の歳月をかけてブドウ畑を整備するとともに超近代的ワイナリーを完成させたのだ。
25ヘクタールのブドウ畑はナパ・ヴァレーの南東部、クームスヴィルAVAに位置する。海からの影響を受ける比較的冷涼な気候のため、温暖化が進む今日、ナパ・ヴァレーの中でもっとも注目のエリアのひとつである。
パルマッツの哲学は「伝統とテクノロジーの融合」。オーガニックやバイオダイナミックなどの栽培法を取りつつも、高精度な地理情報システムを駆使し、栽培チームはつねにブドウの樹の状態を把握する。
また地下に埋め込まれた全18層からなるグラヴィティフローのワイナリーは圧巻のひと言。ワイナリーの中心にある発酵ドームには24基のタンクが並び、各タンクに備わるモニタリングシステムでドームの天井に各種データが映し出される様子は、さながらSF映画のようである。
そして、パルマッツのワインを特徴づけるのがそのラベル。ワインの液だれのようなシミもじつはデザインの一部。フリオがこの土地を購入した際、禁酒法以前に造られたワインを発見。そのラベルについた本物の液だれを見たとき、「前オーナーのフロンティアスピリッツを受け継ごう」と決意し、ラベルに採用した。
パルマッツのワインには前オーナーと現オーナーの情熱があふれている。
パルマッツ・ヴィンヤード
カベルネ・ソーヴィニヨン 2017
Palmaz Vineyards
Cabernet Sauvignon 2017
17年は山火事の年だが、その前に収穫したブドウのみ使用。フレンチオーク(新樽91%)で20カ月熟成させた。クームスヴィルらしい冷涼感のある、エレガントな仕上がり。生産量はわずか3,915ケース(6本入り)。(41,800円)
パルマッツ・ヴィンヤード
アマリア シャルドネ 2017
Palmaz Vineyards
Amalia Chardonnay 2017
フリオの妻アマリアの名を冠したシャルドネ。100%フレンチオーク(新樽75%)で発酵、7カ月熟成。トロピカルフルーツのアロマに香ばしいナッツやバニラのフレーバー。なめらかなテクスチャーにリッチな味わい。(16,500円)>
セダル・クノール・ヴィンヤード
カベルネ・ソーヴィニヨン 2017
Cedar Knoll Vineyard
Cabernet Sauvignon 2017
この土地に最初のブドウを植えたセダル・クノール・ヴィンヤードの創設者、ヘンリー・ヘイゲンへのオマージュ。パルマッツ・カベルネ・ソーヴィニヨンのセカンド的存在で、シルキーな舌触りにビロードのような喉越し。(16,500円)
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Text:Tadayuki Yanagi