7家族の栽培農家の夢が結実 エレガンスとハーモニーのブリュット
ブリュット ノンヴィンテージの出来を見れば、そのメゾンの実力がはっきりわかると言う。シェフ・ド・カーヴがもっとも心を砕き、毎年、全身全霊を傾けて造るのがそのワインだからだ。パルメの「ブリュット・レゼルヴ N.V.」は、噂に違わぬ高い完成度を誇る1本だった。
良質のブドウと緻密な造りで
ブリュットNVの頂点に
第二次世界大戦が終結して間もない1947年。モンターニュ・ド・ランスにグラン・クリュやプルミエ・クリュのブドウ畑をもつ7家族の栽培農家が集まり、新たなシャンパーニュ・メゾンを創設した。彼らが目指したのは、エレガンスとハーモニーの追求。このメゾンが今日、ランスを拠点とする「パルメ」だ。
メゾンは現在、415ヘクタールのブドウ畑を所有。そのうちの200ヘクタールをヴェルズネ、マイィ、リリィ・ラ・モンターニュなど、グラン・クリュまたはプルミエ・クリュが占めている。シャンパーニュにおいても環境への関心は高まる一方だが、パルメでは約半分のブドウ畑でこの地方のサステイナブル認証であるVDCを取得。23年までに100パーセントの取得を目指すという。
一部のリザーヴワインをソレラ式で保管しているのも大きな特徴だ。これはアッサンブラージュでリザーヴに使うためタンクから引き抜いた分を、新たなワインで繰り返し満たす方式で、いわば老舗ウナギ屋の秘伝のたれ。このリザーヴは6~8カ月オーク樽で熟成させたワインを大きなタンクで管理している。
メゾンのシグネチャーである「ブリュット・レゼルヴ」には30~35パーセントものリザーヴワインが使われるが、その一部がソレラ式。50パーセントを占めるシャルドネがエレガンスをもたらし、ピノ・ノワールとムニエが調和を生む。リザーヴワインに加え、4年にもおよぶ瓶内熟成期間が多層的なフレーバーと奥行きを構築。20年のシャンパーニュ&スパークリングワイン世界選手権で、ブリュットNVの頂点に選ばれるという快挙を成し遂げた。
ブリュット・レゼルヴ N.V.
Brut Réserve N.V.
シャルドネ50%、ピノ・ノワール40%、ムニエ10%。ドザージュ8g/ℓ で、そのリキュールにはソレラ式リザーヴワインが使われる。エレガントで包容力があり、複雑な余韻が楽しめる(7,590円)。
左から、ソレラ式によるピノ・ノワールのリザーヴワインを8%用いて造られる「ロゼ・ソレラ N.V.」。厳選されたシャルドネとピノ・ノワールをアッサンブラージュのうえ、8年熟成させた「ヴィンテージ2012」。モンターニュ・ド・ランス東部のヴィレール・マルムリーとトレパイユのシャルドネから成る珍しい「ブラン・ド・ブランN.V.」。(左から9,790円、11,550円、13,200円)
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Photo:Osamu Matsuo (bottle)
Text:Tadayuki Yanagi