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2021.12.17
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30 年経たずに大躍進  みごとに息を吹き返した 、ローヌの眠れる獅子

もともとポテンシャルはあったに違いない。1993 年、シャンパーニュのルイ・ロデレールが傘下に収めたローヌのデュラス。眠れる獅子は 30 年にも満たないうちにローヌ屈指のメゾンに成長した。その影にはどのような努力があったのか?

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最新鋭の醸造施設も完成
更なる向上に期待が高まる

1835年創立のオーディベール・エ・デュラス社を起源とし、南北ローヌ渓谷のさまざまなアペラシオンを手がける「デュラス」。このメゾンに大きな変革が訪れたのは1993年。シャンパーニュのルイ・ロデレール傘下に入って以降だ。

97年にテクニカル・ディレクターとして着任したファブリス・ロセは、手始めにワインの熟成法を見直し、ブドウ畑でも区画ごとに合わせた栽培法を採用。区画を囲う石垣を再建し、すでに枯れて抜けてしまった部分には新たな苗を植えた。

2006年はブドウ畑に投資。クローズ・エルミタージュに合わせて18ヘクタールの畑を手に入れた。ブドウ畑は「ドメーヌ・デ・グラン・シュマン」と名付けられ、この畑で収穫されたブドウのみから造られるドメーヌもののワインとしてラインナップに加わっている。

クローズ・エルミタージュの自社畑、
ドメーヌ・デ・グラン・シュマン。


09年にはこのコンセプトをエルミタージュにも広げ、同アペラシオンに所有する10ヘクタールの自社畑を「ドメーヌ・デ・トゥーレット」と命名。同じくドメーヌワインとして醸造するともに、秀逸な区画として知られる「レ・ベサール」を一部単独で醸造し、商品化した。

そして19年、メゾンが創立180周年を迎えた15年に入手したタン・レルミタージュの土地に、最新鋭の醸造施設が完成。スウェーデンの建築家、カール・フレドリック・スヴェンシュテットが手がけた美的にも見応えのある建物で、内部には円錐台型の発酵タンクや熟成用のオーク樽が機能的に配されている。

19年、タン・レルミタージュに完成した最新鋭の醸造施設。
ビジターによる見学も可能となっている。


ベーシックなコート・デュ・ローヌから単一区画ワインまで、すでに専門誌やコンクールで高得点を獲得しているデュラス。この最新の醸造設備からさらに質を高めたワインが生み出されることだろう。



(右)
コート・デュ・ローヌ ブラン
サン・エスプリ 2020

Côtes-du-Rhône Blanc
Saint-Ésprit 2020

グルナッシュ・ブラン、クレーレット、ブールブーラン、ヴィオニエが主体。白い花や白桃のアロマが穏やかに香り、粘性のある質感。調和の取れた酸味が心地よい。(2,090円)

(右横)
コート・デュ・ローヌ ルージュ
サン・エスプリ 2019

Côtes-du-Rhône Rouge
Saint-Ésprit 2019

シラーを主体にグルナッシュをブレンド。ピュアな果実味を活かすため、樽熟成はなし。プラムやスミレのアロマ。豊かな果実味が口いっぱいに広がり、しなやかな喉越し。(2,090円)

(左横)
クローズ・エルミタージュ ルージュ
ドメーヌ・デ・グラン・シュマン 2017

Crozes-Hermitage Rouge
Domaine des Grands Chemins 2017

石ころの多い沖積土壌の区画シャシの自社畑産クローズ・エルミタージュ。シロップ漬けのプラムやブラックチェリー。果実味豊かで肉感的。タンニンはキメ細かくシルキー。(5,500円)

(左)
エルミタージュ ルージュ
ドメーヌ・デ・トゥーレット 2016

Hermitage Rouge
Domaine des Tourettes 2016

レルミット、ル・サボ、レ・ベサールの3区画から成る、自社畑産のエルミタージュ。皮革やスパイスなどフレーバーは複雑。タンニンはなめらかだが、しっかりした骨格。(13,200円)

[お問い合わせ先]
株式会社都光
Tel:03-3833-3541
https://www.toko-t.co.jp

Photo:Tetsuo Kitagawa(bottle)
Text:Tadayuki Yanagi