茨城発、匠のものづくり 筑波山系の杉材で作る木製ワインクーラー
茨城県河内町にアトリエを構える革製品ブランド「ワイルドスワンズ」が、県内の工房とタッグを組みワインクーラーを発売。こだわりの逸品製作に込めた想いとは?
■新たな着想から生まれた、地域連携ならではの一級品
ブランド設立当初から堅牢で長く使い続けられる革製品を生産し、その品質には定評があるワイルドスワンズ。同社では近年、茨城県でものづくりを行なう人々と連携し、革製品の域を超えた製品企画やサービス事業にも積極的に取り組んでいる。
「大量生産、大量消費が一般化してしまったいま、かつて日本人がもっていた『愛着をもって長く使い続ける』という文化を、地元茨城の方々とともに再興したいのです」と、代表取締役の鴻野弘好は言う。
2015年からスタートしたこのプロジェクトの発端となったのは、農家が丹精込めて栽培した良質な茨城県産酒米が日本酒需要減少の影響で余っている、との話を耳にしたことから。同じものづくりを生業にするものとして、この状況をなんとか打破したいと奮起。水戸の酒蔵、吉久保酒造に話をもちかけ、オリジナルの日本酒「マルサン純米大吟醸」が完成した。
さらに、常陸太田市で栽培したシャルドネを牛久醸造場で醸造した「マルサンプレミアムスパークリングワイン」をリリース。このワインを冷やすためのワインクーラーも製作したいと、石岡市の工房、ヤポニカに依頼し、木彫りのワインクーラーが誕生した。
筑波山系の杉材を用いたワインクーラーは、氷を溶けにくくする目的でたっぷりと厚みをもたせてあるが、持ち上げるとその軽さに驚く。木製ならではの手触りも温かみがあり、結露もしない。丸みある独創的なフォルムは、クリュッグのようなネックが細く瓶底が太いボトルがキレイに収まるよう計算されたもの。美しさと使い勝手を両立した細部へのこだわりは、本業の革製品製作に込めた哲学と同様だ。
「インパクトのあるものを発信することで、茨城にもおもしろいことをやっている人がいるんだ、と注目してもらい、茨城ブランドの価値が上がっていけばいいなと思っています」。唯一無二の木製ワインクーラーには、茨城県人のものづくりに対する熱き想いが込められている。
[お問い合わせ先]
WILDSWANS
TEL:03-6264-4158
https://www.wildswans.jp
Poto:Haruki Kodama
Text:Etsuko Tsukamoto