機能美に優れる
ソムリエナイフケース誕生
前号で筑波山系の杉材を使用し、茨城県内の工房で製作したワインクーラーをお披露目した茨城県河内町のワイルドスワンズが、ワイングッズ第二弾としてソムリエナイフケースを発表。いよいよ本業の革製品でワイン業界への参入を図る。その出来栄えやいかに!?
ソムリエナイフにこだわっても、そのケースにまで気を使う人は意外と少ない。そもそもソムリエナイフを収納する市販のケースを見つけることがむずかしく、付属しているケースを使うか、あるいはそのままポケットに入れて持ち運ぶ人が多いのではなかろうか。
そこで、よいものが無いならば最高のケースを作ってみようと、自らデザインし、市販モデルを完成させたのが、前号でご紹介した木製ワインクーラーを手がけるワイルドスワンズの鴻野弘好社長だ。
同社は1998年に茨城県河内町に誕生した革製品ブランド。前身は精密機械を下請けする町工場で、これからの製造業は大量生産品ではなく手作りのモノでないと生き残れないと考え、大転換。四半世紀かけてブランドを育ててきた。
地元茨城のモノ作りを支援したいとの思いから、茨城県河内町の米を水戸の酒蔵、吉久保酒造で醸造させたオリジナルの日本酒「マルサン純米大吟醸」をリリースし、さらに牛久市にある牛久醸造場とのコラボレーションで、常陸太田市のブドウから造られるオリジナルワインの「マルサンプレミアム」を販売。こうした関わりから生み出されたのが、筑波山系の杉材を用い、石岡市の工房、ヤポニカで作られる木製ワインクーラーであり、今回のソムリソエナイフケースというわけだ。
本業の革製品なだけに、気合の入り方もワインクーラー以上。構想を練り、知り合いのソムリエから助言をもらいながら、試作を繰り返してようやく完成にこぎつけた。
ワイルドスワンズの革製品作りにおけるモットーは、第1に美しさ、第2に堅牢性、そして第3に機能性という。
まず美しさについては、流線型のなめらかなラインを描き、ベルトループも直線ではなく中央を絞った流れるようなフォルム。堅牢性は、サイドに二重のステッチを施し、長期にわたって使用しても簡単には壊れない構造とした。
機能性では、ナイフを出し入れする口元をチューリップ形に広げることでスムーズな動作を可能とし、また内側には起毛した革を使用。適度な滑り加減を実現しつつ、ジャストなサイズを導き出し、ソムリエナイフが脱落しにくくなっている。
「革製品は馴染めば馴染むほど使い勝手がよくなります。安心してソムリエナイフを取り出せ、抜栓もスムースに。お客さまとの会話がより弾めば、これを作った私たちも誇り高い気持ちになります」と鴻野社長。今後は革のタイプや色などバリエーションを増やしていく予定だ。このケースが気になる方は銀座のギャラリーで実物を手に取り、その機能美を確かめてみてはいかがだろう。
商品:ソムリエナイフケース
価格:24,200円
シャトーラギオールなどの高級ソムリエナイフがぴたりと収まる本革製のケース。
この市販最終型はフランス産の革を用い、色はバーガンディーだが、
今後、さまざまな革や多色展開を検討している。
■店舗紹介
WILDSWANS
support&gallery
住所:東京都中央区銀座1-15-8 銀座耀ビル8F
TEL:03-6264-4158
https://www.wildswans.jp
Photo : Tetsuo Kitagawa
Text : Tadayuki Yanagi