
シャブリの多様性を音楽表現! 楽曲「シャブリ・シンフォニー」演奏会レポート vol.3
毎年、さまざまな試みでシャブリワインの魅力を発信しているブルゴーニュ委員会。今年は、4アぺレーションが織り成す多様性を音楽で表現。作曲家の松波匠太郎が、ソムリエの近藤佑哉とともに4種類のシャブリをテイスティングし、インスピレーションを受け作曲した楽曲「シャブリ・シンフォニー」の演奏会が開催された。vol.1、2に引き続き、最終回の今回は松波の作曲した楽曲「シャブリ・シンフォニー」にフォーカスする。

2022年、シャブリワインを味わったときの感覚や感情を「音楽」で表現する、という世界初の試みに挑んだブルゴーニュワイン委員会。今回のプロモーションのために作曲を依頼したのは作曲家の松波匠太郎。ソムリエの近藤佑哉との4つのアペラシオンのシャブリテイスティングを経て得た官能特性や、ブルゴーニュワイン委員会との詳細にわたる対話を重ね、世界初となる楽曲「シャブリ・シンフォニー」が誕生した。
この楽曲は、ドビュッシーの「ベルガマスク組曲」のように、4つの独立した曲で構成される組曲だ。これらの曲は単独、あるいはアンサンブルで演奏される。今回選ばれたヴァイオリン、ピアノ、クラリネット、チェロの編成は、今年没後30周年を迎えたフランスの現代音楽家オリヴィエ・メシアンが好んだ編成。松波は彼に敬意を表して、この4楽器を選んだという。
それぞれの楽曲について、各アペラシオンの特徴とともに松波のコメントを紹介しよう。
■1曲目:プティ・シャブリ
ポートランディアン期の石灰質土壌、若いうちが飲み頃
軽やかで明るく、若々しい溌剌さが魅力。メインの楽器はヴァイオリン。
4アペラシオンの中で末娘の位置づけです。燃えるような、でもちょっと無茶をする。この勢いが、組曲全体を牽引していきます。
■2曲目:シャブリ
大部分はキンメリッジアン期の石灰質土壌の斜面に植えられ、純粋さ、爽やかさとミネラル感が特徴
バランスよくオーソドックス。親近感、普遍的、メインの楽器はピアノ。
店舗はモデラート(中くらい)で安定している。よりクラシックな雰囲気。このため、親しみやすいピアノで表現する。末娘のプティ・シャブリよりは大人しい。
■3曲目:シャブリ・プルミエ・クリュ
シャルドネが個性豊かなクリマを表現するワイン
明らかな丸み、深く、しなやか。メインの楽器はクラリネット。
シャブリワインの階段を登り続けています。落ち着いたテンポの中、複雑に絡み合う弦を背景に、クラリネットのなめらかな旋律が歌われます。
■4曲目:シャブリ・グラン・クリュ
スラン川右岸のおもに南や南西向きの日当たりのよい急斜面。キンメリッジアン土壌がところどころ露出していて、優美なワインになる条件が揃っている
頂点、より深く、輝かしい。メインの楽器はチェロ。
落ち着きの中にも威厳があり、チェロの持続に支えられ、曲は力強く奏でられます。ここまでのテーマが随所に散りばめられ、組曲全体のフィナーレを華々しく飾ります。
4アペラシオンのワインとともに、世界で活躍する一流演奏家による「シャブリ・シンフォニー」の演奏を聴いていると、まさにシャブリ4アペラシオンのイメージを体全体で享受しているかのようだ。
「ワインに音楽をつけるという初の試みでしたが、近藤さんのサポートのもと、とても新鮮な気持ちで、興味深く取り組ませていただきました。近藤さんも私も、それぞれ味覚と聴覚という道をずっとたどってきています。まったく別の世界ですが、不思議と感覚を研ぎ澄ますということで共鳴できました」と松波。
「一般的にワインは、聴覚では感じづらいものですが、今回、ワインのテイスティングに音楽を合わせることでより時間軸を感じ、ワインは音楽と寄り添えるのだと、改めて実感しました。皆さんもぜひ、音楽の中に身を投じて、そしてワインを飲んでみていただきたい。そういう合わせ方をすることで、ワインの情景が充分に感じられるのではないかなと思います」と近藤。
楽曲「シャブリ・シンフォニー」の音源は、以下のリンクから視聴が可能。
同ページでは、松波・近藤両氏による、トーク形式の試飲解説付きバージョンも映像で見ることができる。
https://bit.ly/chablis_symphony_link
同コンサート映像版フルバージョン(6分)はこちら:
https://bit.ly/コンサートフルバージョン
ぜひシャブリ4アペラシオンのワインを飲みながら、官能体験をお試しあれ!
Text : Etsuko Tsukamoto