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2022.11.11
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アルザスワインをとことん楽しむ「アルザスロックス!」 参加店に聞く、銘醸地アルザスの魅力 Vol.1

フランス北部の銘醸地、アルザス。個性的な品種、スパークリングからキレのある酸を有した辛口、極甘口までさまざまなスタイルでワインファンを虜にする産地だ。このアルザスワインの魅力を多くの人に知ってもらうためのキャンペーン「アルザスロックス!」がスタート。本プロジェクトのワインコンダクターを務める五鬼上泰樹が、参加店のソムリエたちにインタビュー。その魅力を2回に分けてお届けする。

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■ワインショップ 一力商店〔蒲田〕
店長 柴原 裕さんに聞く

家庭料理と合わせて楽しんでもらえる
アルザスワインを提案

「僕はもともと料理をやっていたのですが、最初に好きになったワインがアルザスのリースリングなんです。食事と寄り添うような香り、そして酸味が特徴的。シャープなキレもありつつリンゴのような甘さもあって、ちょうどワインの勉強を始めたころだったので“これがリンゴ酸なのか”と理解したり(笑)。

だからこそアルザスワインは、ワイン初心者やワインに興味をもちはじめた方に、ワインの入り口としてお伝えしやすいです。リースリングやゲヴェルツトラミネールといった華やかな香りがするものに出会って、“こんなワインがあるんだ”と驚き、そこからワインの世界に足を踏み入れる方は少なくないですね。

ショップなので、基本的にワインを買っていただいてご自宅で楽しんでもらうため、家庭料理とのマリアージュもアドバイスさせていただいています。肉じゃが、鶏肉や豚肉のソテーにバターをからめたソース、またこれからの季節はクリームシチューなどを作られる方も多いですが、そんな食卓にはアルザスワインをおすすめします。牛肉のすき焼きなんかはアルザスのピノ・ノワールにぴったりですね。焦げた肉と醤油のフレーバーに酸とミネラル感が合うと思います。

季節によってさまざまな種類のデリを店内でも販売していて、ワインと一緒に持ち帰ってもらったり、有料試飲しながらつまんでもらったりしているんですが、ハムやチーズ、キッシュなどアルザスワインと一緒に楽しんでもらえるような惣菜も多い。グラン・クリュであってもアルザスワインは手に取りやすい価格だし、さまざまなアルザスを見つけて、ご家庭やホームパーティなどで楽しんでいただきたいと思います」。(柴原さん)

▼柴原さんレコメンド いま飲みたいアルザス

写真左)
アルザス ゲヴュルツトラミネール 2020 “レゼルヴ” / ポール・ブルケール
Alsace Gewürztraminer 2020 “Réserve” / Paul Bruckert

ライチやトロピカルフルーツの香り豊かなブドウの個性をカジュアルに楽しめる。

中)
クレマン・ダルザス ロゼ N.V. / ミューレ 
Crémant d’Alsace Rosé N.V. / Mure

ビオディナミ栽培のピノ・ノワール100%、ふくよかなロゼ・スパークリング。

右)
アルザス リースリング グラン・クリュ ソンメルベルグ 2018 “JV” / アルベール・ボクスレ
Alsace Riesling Grand Cru Sommerberg 2018 “JV” / Albert Boxler

家族経営のドメーヌが造るグラン・クリュ。芳醇な香りとミネラル感が圧巻。

【店舗情報】
ワインショップ 一力商店
https://kamata-de-wine.com/

***

■レストラン オザミトーキョー〔丸の内〕
オザミワールド代表 丸山 宏人さん 、オザミワールドCEO 田中 一英さんに聞く

ガストロノミックな料理と存在感のある
アルザスワインをペアリング

「アルザスのアペラシオンだけでも50〜60アイテムをオンリストしています。ボトルで楽しまれるお客さまもいらっしゃいますが、料理と合わせてのペアリングのニーズも多く、そこでもアルザスは活躍しています。ここオザミトーキョーを含め、グループ9店舗すべてこのキャンペーンに参加していますが、これを機にアルザスワインの味わいや素晴らしさを知っていただけたらいいですね。

芳醇な果実味の中に、冷涼な産地ならではの繊細な酸とのバランス。セパージュごとの香りの特徴もあり、さまざまな料理に合わせやすいのがアルザスワイン。シャルキュトリーや肉系の前菜、魚介や鶏肉は総じてアルザスでいけますし、これからの季節、フォワグラやキジやウズラといった白身のジビエは熟成したリースリングがぴったりです。

実際にやってみて印象的だったペアリングは、ウニのムースとアルザスのリースリング。このメニューができたとき、魚介系の高級食材ということで海のそばの産地やブルゴーニュなどさまざまなワインと合わせてみたのですが、ヨードのニュアンスがうま味を引き立てて濃厚なテクスチャーとも釣り合う、アルザスの熟成したリースリングがベストマッチだったんです」。(田中さん)


「アルザスは私自身が大好きな産地なんです。もう30年以上前になりますが、フランスで修業していたころにアルザスの端から端まで、50のリュー・ディ(当時)をすべて自転車でまわりましてね。レストランには行けないから、豚肉を買ってシュークルートを作って、アルザスワインを飲んでいた。シュークルートはずっと得意料理で、最初にオープンしたレストランでも必ずオンメニューしていました。

アルザスワインの豊かな香りは料理を引き立ててくれるし、MLFをしていないものはしっかりと酸があるので、いろんな食材を引き締めてくれます。また和食にも合うような繊細さもある。軽やかでみずみずしいタイプはアペリティフにぴったりだし、熟成したものやグラン・クリュ クラスのものはパンチもあって、高級食材やガストロミックな料理に堂々と合わせらます。

アルザスは自転車旅行以降何度も訪れていますが、ストラスブールのミシュランスターレストラン「オ クロコディール」で体験した、シュークルート✕シルヴァネールや、フォアグラのブリオシュにセレクション・ド・グラン・ノーブルの組み合わせは素晴らしかったなあ。本当に幅の広さを感じます。余談ですが、ブルゴーニュのコート・ドールが美しいと言われますが、フランスでいちばん景観のキレイな畑はアルザスだと、僕は思いますね」。(丸山さん)

▼田中さんレコメンド いま飲みたいアルザス

写真左)
アルザス ピノ・グリ 2003 “レゼルヴ T.S.” / ジェラール・シュレール エ フィス
Alsace Pinot Gris 2003 “Réserve T.S.” / Gerard Schueller et Fils

遅摘みでやや残糖を残したキュヴェで迫るような凝縮感を感じられる名品。

中)
アルザス グラン・クリュ リースリング ランゲン・ド・タン 2013 “クロ・サンテュルバン” / ツィント・フンブレヒト 
Alsace Grand Cru Riesling Rangen de Thann 2013 “Clos Saint Urbain” / Zind Humbrecht

アルザス最南端に位置する傾斜70度のグラン・クリュ。熟成のポテンシャルも高い。

右)
アルザス ピノ・ノワール 2019 “キュヴェ・ベアトリス” / クリスチャン・ビネール
Alsace Pinot Noir 2019 “Cuvee Béatrice” / Christian Binner

無添加を貫くビネールが造る、ジューシーでみずみずしいエキスのようなピノ・ノワール。

【店舗情報】
オザミトーキョー
https://auxamis.com/tokyo

***

■ワインバー LOOPY(ルーピー)〔蒲田〕
店長 小林 俊介さんに聞く

バーカウンターで甘口やヴィンテージなど
個性的なアルザスを堪能

「オーセンティックなワインバーなので、食事を済ませた後に場所を変えて、ゆっくりとワインそのものを楽しむために訪れるゲストが多いですね。グラスワイン常時20種以上を開けていますが、その中でもアルザスは5、6種をラインナップ。品種が個性的で香りも豊か、すっきりした辛口から上質な甘口までが揃い、ナチュラルな造りに積極的に取り組んでいる生産者も増えています。多様性があり、好みやシチュエーションによってさまざまなご提案ができるのでサービスをする側としても楽しい。

遅摘みのヴァンダンジュ・タルディヴ、貴腐ワインであるセレクション・ド・グラン・ノーブルといった甘口ワインも、当店では出番が多いですね。ジェラートやスイーツなどと一緒に楽しまれる方も多いですし、あまりお酒が得意ではないというお客さまにおすすめしすることもあります。“香りがよくて、トロりと甘いけどベタッとしてなくて、これなら飲める”とおっしゃる方もいました。上品で優しい甘みと酸とのバランスがよいアルザスの甘口ならではですね。

酸が保持されているので、熟成のポテンシャルが高いワインも多い。古酒好きな方には、1990年代のリースリングのようなヴィンテージアルザスをおすすめることもあります。色も褐色に変化しつつあって、カリンのようなフレーバーが素晴らしく、飲むとまだ酸味も感じられて余韻も長い。リースリングがこんな風に変化するのかと驚かれますね。熟成感でも選べるのがアルザスの魅力のひとつでもあると思います。

ボトルでも楽しんでいただけますし、バイ・ザ・グラスでさまざまなアルザスを飲み比べることができるのもバーならでは。量も調節しますよ。フードも何種類かご用意していて、これからはアルザスワインに合わせるために、マンステールとクミンを使ったタルトフランベ風のおつまみや、ジャガイモと貝柱のクリームグラタン、キッシュといったものを考えています」。(小林さん)

▼小林さんレコメンド いま飲みたいアルザス

写真左)
アルザス ゲヴュルトラミネール 2020 “夕薫 テール・デトワール” / クリストフ・ミットナット
Alsace Gewürztraminer 2020 “Yuka Terres d’étoiles” / Christophe Mittnacht

ゲヴュルトラミネールをマセラシオン。バラやライチにジンジャーやペッパーが香る。

右)
アルザス ゲヴュルツトラミネール 2017 “セレクション・ド・グラン・ノーブル” / ローリー・ガスマン
Alsace Gewürztraminer 2017 “Sélection de Grains Nobles” 2017 / Rolly-Gassmann

力強くて複雑、それでいてベタつかない上品な甘さの貴腐ワイン。

【店舗情報】
ワインバー LOOPY(ルーピー)
https://winebarloopy.com

〔取材を終えて〕

「酒販店、レストラン、ワインバーという異なる業態のお店にお邪魔しましたが、皆さんそれぞれの視点でアルザスワインの特徴を捉え、その魅力をしっかりと理解してくださっていました。今年度はグラン・クリュにヘングストとキルシュベル・ド・バールというふたつのピノ・ノワールが加わったり、21年度ヴィンテージからは4段階で甘辛度がラベルに表記されるようになるなど、提供する側の皆さんからもさらに使いやすくなります。そんなアルザスワインに、ぜひ注目いただきたいと思います」。(五鬼上泰樹)

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■ 「アルザスロックス!」キャンペーン情報
「アルザスワイン公式認定店」はこちらからチェック!
各店のキャンペーンの詳細(期間や内容)が確認できます。
https://www.appsheet.com/start/9fe29603-30f2-4c8e-9538-3578bb767c33

アルザスワイン委員会関連SNS
HP: https://www.vinsalsace.com/jp/
Facebook: https://www.facebook.com/AlsaceWinesOfficial
Twitter: https://twitter.com/AlsaceWines?s=20&t=-Vhir23IAmxNfa-OHOz4rw
YouTube: https://www.youtube.com/user/WinesofAlsace
Instagram: https://www.instagram.com/vinsalsace/?hl=fr

Photo:Shin-ichi Yokoyama
Text:Hiromi Tani