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2024.06.17
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クリュッグの新醸造施設“ヨーゼフ”がアンボネイ村に完成

前年のヴァン・クレールの試飲や新しいエディションをお披露目する世界各国のジャーナリスト向けイベント「KRUG BEHIND THE SCENES」。今年もウェルカムディナーで至福の夜を過ごした翌朝、向かった先は?

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今年向かったのはメニルでなくアンボネイ

いつもならクロ・デュ・メニル訪問から始まる「KRUG BEHIND THE SCENES」。今年は方角が違い、向かった先はアンボネイ村。クリュッグの新しい醸造施設「ヨーゼフ」がついにその姿を現した。

「これは次世代のためのプロジェクト。構想から7年がかりで私たちの夢が実現しました」と、セラーマスターのジュリー・カヴィルは語る。建設にあたり、低カーボン、低環境負荷、リユース、リサイクル、資材の地元調達などを定めたという。

総床面積は9500平方メートル。地上階にはクリュッグのお家芸のひとつ、発酵用のオーク樽が整然と並ぶ。ただし、積むのは2段まで。特殊なラックを使うことで、樽を回したり持ち上げたりする際の労働負荷を軽減。これも持続可能な未来を考えた、社会的責任の一環である。

 

クロ・ダンボネの畑に隣接する新醸造施設「ヨーゼフ」。
ティラージュまでここで行ない、瓶熟成はこれまでどおりランスの地下セラーで行なわれる。

この施設のテイスティングルームで昨2023年のヴァン・クレールを試飲。ジュリーによれば、23年は容易な年ではなかったという。8月の雨でブドウ房が肥大し、凝縮感に乏しいうえ、酢酸菌も広がった。とくに黒ブドウに顕著で、この年の勝者はシャルドネ。7年後にリリース予定のグランド・キュヴェ 179 エディションはシャルドネが45パーセントと、37パーセントのピノ・ノワールを超える異例のアッサンブラージュとなった。

 

(上)ローラーの付いた特殊なラックに、2段積みされるオーク樽。
穴の位置を変えるため、樽を回すのも楽。
澱引きも特殊な装置を用い、樽を傾ける必要がない。
(下)発酵を終えたワインは、地下のステンレスタンクに重力で移される。

ランスのメゾンではさまざまなキュヴェを試飲したが、最新のグランド・キュヴェ 172 エディション(※日本での発売開始は24年夏以降)について述べておこう。ベースとなる16年は開花期に雨が降り、夏が暑かった。黒ブドウから収穫が始まった珍しい年で、ピノ・ノワール44パーセント、シャルドネ36パーセント、ムニエ20パーセント。変わらぬ多層性と新鮮味には驚かされる。

 

ジュリー・カヴィル
Julie Cavil
広告代理店勤務という異例の職歴をもつ。
ワイン好きが高じてランス大学に入学し、改めて醸造学を学び、
モエ・エ・シャンドンでの研修を経て、2006年、クリュッグに入社。
20年、セラーマスターに昇進。

[お問い合わせ先]
MHDモエ ヘネシー ディアジオ株式会社
https://www.krug.com/jp

Text : Tadayuki Yanagi