• Top
  • Feature
  • 2300生産者の実り その頂点を極めて
2022.12.09
feature

2300生産者の実り その頂点を極めて

裾野が広ければ広いほど山は雄大で頂も高い。サン・ガールブランドのトップキュヴェ、オルパールはシャンパーニュのテロワールにおいて、それを体現している。

  • facebook
  • twitter
  • line

1966年に設立されたユニオン・シャンパーニュ。15のコーペラティヴ、2300人以上の組合員によって構成されるシャンパーニュ最大級のコーペラティヴ連合で、その自社ブランドがサン・ガールだ。

 

昔ながらの佇まいのアヴィーズ村にあって、まるで未来空間を思わせる醸造施設の入り口。
2012~15年にかけて建設された。

 

本拠地はコート・デ・ブランのアヴィーズ。垂涎のグラン・クリュ畑に囲まれた村の中にあり、ひとたびその敷地、さらに地下に足を踏み入れると、壮観な施設に圧倒される。見上げるようなタンクが60 数基も並ぶ最新鋭の醸造施設、そして1890年代からの歴史があるカーヴには、10数年分の実りから、厳選されたワインが集結している。

ユニオン・シャンパーニュ組合員の畑の総面積は1400ヘクタール。そのうち9割以上がグラン・クリュかプルミエ・クリュというのだから驚く。当然のことながら、シャンパーニュの醸造家なら、そのレベルのブドウは喉から手が出るほど欲しい。実際、組合員が個々に丹精したブドウの何割かは名だたるグラン・メゾンが使っていると聞けば、クオリティの高さが伝わってくる。

2300軒によって耕作される広範な畑のレベルを揃えることは至難の技だと想像するが、すでにその半分がフランス農水省による環境認証HVEを取得。今後5、6年のうちに100パーセントを達成する計画というから、志の高さが見てとれる。

収穫されたブドウはフレッシュさを保つために各村のコーペラティヴで圧搾、第一次発酵が行なわれる。そして翌年2月になると、そのうちの最上のものだけがアヴィーズに集結。ユニオン・シャンパーニュ生え抜きのシェフ・ド・カーヴ、セドリック・ジャコパンによってサン・ガールの名を冠するにふさわしいアッサンブラージュが行なわれる。

今回とくに注目したい「オルパール」は、このブランドの中でも最高峰のキュヴェだ。アヴィーズ、クラマン、オジェ、メニル・シュール・オジェの4つのグラン・クリュのシャルドネだけを使った贅沢なもので、アッサンブラージュののち、10年以上じっくりと熟成させて初めて世に出る。

 

オルパールはアヴィーズ、クラマン、オジェ、メニル・シュール・オジェの4つの
グラン・クリュのシャルドネだけで構成される。

 

ちなみに、オルパールという名前のキュヴェは1966年から存在しているが、ミレジムとなったのは80年からで、これまでリリースされたのは80、83、85、88、90、95、96、98、00、02、03、04、08。秀でた収穫年にしかできないキュヴェなのだ。洗練、豊かさ、ハーモニー。ブルゴーニュの偉大なるワイン同様、シャルドネのもっとも美しいテロワールの究極の表現がそこにある。

 

地下5階にあたる歴史的なカーヴで熟成中のオルパール。
10年以上、ここでじっくりと寝かせてからルミュアージュの工程に。

マグナムボトルなど手回しが必要なルミュアージュは、全体の2~3%ほど。
それでも3人がかりで行う仕事量だ。

 

■ワイン紹介

(写真左)
オルパール 2002 20年 ゼロ・ドザージュ
Orpale 2002 -20ans- zéro dosage

2000年代で特筆すべき素晴らしい年を記念して、オルパールとしては初めての試みとなるドザージュ・ゼロのキュヴェが2002本限定でリリース。フレッシュさ、マチュアな豊かさの均衡が見事。(41,800円)

(中)
オルパール ブラン・ド・ブラン グラン・クリュ ブリュット 2008
Orpale Blanc de Blancs Grand Cru Brut 2008

涼しい年ゆえのゆっくりとした実り、美しい酸がもたらすフレッシュさ、ミネラリティを感じる味わいが特徴的。柑橘類からスモーキーなニュアンスまでの香りの変化、心地よい後味の長さが秀逸。(27,500円)

(右)
オルパール ブラン・ド・ブラン グラン・クリュ ブリュット 1998
Orpale Blanc de Blancs Grand Cru Brut 1998

エレガントでピュアな年と形容される98年。色は黄金色、繊細な泡はベルベットのよう。フルートグラスではなく、広がりのあるグラスでガストロノミーワインのように楽しみたい、時の芸術品。(44,000円)


フレデリック・バイオッコ(左)/Frédéric Baiocco、セドリック・ジャコパン(右)/Cédric Jacopin
輸出部長(左)とシェフ・ド・カーブ(右)。1976年、ヴェルチェのブドウ生産者の家系に生まれたセドリック・ジャコパンは、ランスでオノローグのディプロム取得後、ユニオン・シャンパーニュ入社。2016年から現職。

 

[お問い合わせ先]
株式会社都光
TEL:03-3833-3541
http://www.toko-t.co.jp

Photo : Masahiko Takeda
Text : Harue Suzuki