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2022.12.07
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モンターニュ・ド・ランスの偉大なるテロワール

北の畑、酷暑の年。一見するとマイナスに思えることが時を経て宝物になる。ひたむきに歳月をかけて育んできたメゾンのエレガンスがいま、馥郁と大輪の花を咲かせる。

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シャンパーニュ&スパークリングワイン世界選手権2020年大会、ノンヴィンテージ・ブリュット部門で世界一に輝いたのがパルメのブリュット・レゼルヴだった。

いままさに世界中が注目しているこのメゾンの始まりは1947年。エレガンスとハーモニーを体現する新しいシャンパーニュの創造を目指し、モンターニュ・ド・ランスにグラン・クリュ、プルミエ・クリュのブドウ畑を有する7軒の栽培家たちがひとつになり、ソシエテ・デ・グラン・テロワール・ド・ラ・シャンパーニュを設立。その後まもなくシャンパーニュ・パルメ&Co.と改名し、59年からはランスを本拠地としている。

 

ランス市内、グラン・メゾンが立ち並ぶ界隈の中心に位置するパルメ本社。
この下の総延長2.5kmのカーヴがある。

地下40mのカーヴ。壁を隔ててG.H.マム、ルイ・ロデレール、
クリュッグ、アンリオなどのカーヴが広がっている。

 

現在、シャンパーニュ全域にわたる415ヘクタール、40以上のクリュがパルメの美しいアッサンブラージュを可能にしているが、そのうち200ヘクタール以上がモンターニュ・ド・ランスのグラン・クリュとプルミエ・クリュ。今回待望のリリースとなったグラン・テロワールは、メゾンの核となるモンターニュ・ド・ランスの偉大なるテロワールに光を当てるもので、品種構成も畑もメゾン最初のキュヴェと同じ。75年前の創業者たちの最上の夢が形になった。

そもそもパルメでは作柄のよい年にはヴィンテージを造っているが、グラン・テロワールはさらにその上をゆくもの。特別な年だけがグラン・テロワールになる。最初の発表は2003年収穫のマグナム1700本。歴史的酷暑の年だからこそ、このキュヴェが生まれる契機になった。モンターニュ・ド・ランスはシャンパーニュのブドウ畑の中でも北に位置していること、さらにそこから得られるシャルドネを重要視してきたことが優位に働いた。

パルメでは、そもそもシャルドネのフィネスを大切にしている。グラン・テロワール2015でも、モンターニュ・ド・ランスのマイィ、ヴェルズネのグラン・クリュ畑のピノ・ノワールなどとともに、シャルドネを50パーセントの割合でアッサンブラージュ。

 

モンターニュ・ド・ランスのグラン・クリュ、マイィの畑は創業以来のもの。
グラン・テロワールのアッサンブラージュに使われる。

 

畑は、北東部のトレパイユとヴィレ・マルムリィのふたつのプルミエ・クリュだ。このテロワールのシャルドネは、たとえるならピノ・ノワールの大海の中の宝島。シャルドネといえばコート・デ・ブランのグラン・クリュがまず思い浮かぶが、いまやそれに匹敵、あるいは凌駕するという評判だ。気候変動が進む中、パルメの長年の確信に、いよいよ羨望の目が集まっている。

 

樽の中身は3種のソレラ原酒。 中でも35年以上注ぎ足されてきたシャルドネのソレラは、
全キュヴェの門出のリキュールになる。

 

■ワイン紹介

写真右)
グラン・テロワール 2015
Grands Terroirs 2015

シャルドネ50%、ピノ・ノワール38%、ムニエ12%。ドザージュ7g/ℓ。完璧なコンディションの収穫となった太陽の年の恵み。しっかりとしたストラクチャーから時間をかけて引き出されたフィネスを感じるリッチな味わい。(16,500円)

左)
ブリュット・レゼルヴ N.V.
Brut Réserve N.V.

シャルドネ50%、ピノ・ノワール30%、ムニエ20%。ドザージュ8g/ℓ。リザーヴワインの比率は高めの34%。澱とともに4年以上の熟成を経たまろやかなリッチさと、フレッシュな酸味のバランスが絶妙。(7,590円)


レミ・ヴエルヴィエ
Rémi Vervier
パルメ ディレクター。1973年、ブルゴーニュ・マコンのブドウ農家に生まれる。名門農業工科学校アグロ・パリ・テック卒業後。ルイ・ラトゥールで10年間キャリアを積んだのち、2010年からパルメでその手腕を発揮している。

 

[お問い合わせ先]
株式会社都光
TEL:03-3833-3541
http://www.toko-t.co.jp

Photo : Masahiko Takeda
Text : Harue Suzuki