Don Melchor 2020時代の変化に対応した、市場をリードするワインとは
多様化するワイン市場、コロナ後に勢いを増すインバウンド。いま、ワインリストに必要なワインとは何か、なぜドン・メルチョーに注目すべきなのか。大橋健一マスターオブワインが語った。
市場の把握、市況の先読みで
オントレードを活性化
2023年11月初旬、大橋健一マスターオブワイン(以下MW)による「アイコニック・ファイン・ワイン・エクスペリエンス〜rethinking our quality assessment(品質評価の再考)〜」セミナーが開催。聴講者のトップソムリエ、ワインバイヤーを前に、コロナ禍を経て変化したワイン市場におけるオントレードの在り方、求められるワインの姿が語られた。
まず必要なのは、増加する世界各国のゲストに対応できるワインリストの多様化、と大橋MW。ジョージアやイギリスなど流通するワイン産出国が増えたほか、オレンジワインやペットナットなどワインのスタイルも多様になったいま、これまでのようにフレンチではフランスワイン、イタリアンではイタリアワイン一辺倒ではなく、多様かつ多国籍なワインリストが求められるという。
次に注目すべきはプレミアムワイン。日本市場においてコロナ前の19年とコロナ後の22年を比較すると、1万円以上のプレミアムワインの消費は149パーセント増。なかでもチリの躍進が目覚ましく、伸び率は200パーセント。一方、オントレードで強いフランスは131パーセントにとどまる。「この数字が示すのは、消費者は幅広い国のワインを受け入れ、消費者が幅広い選択肢の下でワインを楽しむようになってきている。それをリードすることがオントレードの活性化につながります」。
そしていま、消費者の購買動向に大きな影響を与えているのがSDGsだと強調。最後に欠かせない要素として、「クオリティ・アセスメント(品質評価)」の重要性を挙げた。
これらすべての条件を満たすワインとして大橋MWが推すのがコンチャ・イ・トロのドン・メルチョー。プレミアムワイン産地として躍進するチリ産。アルト・マイポのグラン・クリュと呼ばれるプエンテ・アルトで、ボルドーのトップ・コンサルタント、エリック・ボワスノの協力のもと生まれるアイコンワインだ。
SDGsの面でも抜きんでており、世界のサステイナブル界隈で注目度の高いBコープ認証を取得している。Bコープは社会課題や環境問題に関わるあらゆる側面において高い基準をもって行動する企業に与えられる認証で、ワイナリーでは世界で35社のみが取得している難関認証。コンチャ・イ・トロが自社リサーチセンターを設立し、疾病対策から気候変動への適応性に焦点を当てた研究を行ない、研究結果をチリ全土のワイナリーに共有している点も、認証取得にあたりアドバンテージだったと大橋MWは語った。
そして、クオリティ・アセスメントのよさ。今回はそれを検証すべくボルドー品種の世界のアイコンワインを参加者全員でブラインド・テイスティングを行なった。ワインは、ドン・メルチョー 2020、シャトー・ムートン・ロートシルト 2020、シャトー・メルシャン 椀子 オムニス 2017、シャトー・メルシャン 桔梗ヶ原メルロー シグナチャー 2018、アルマヴィーヴァ 2020、トリヴェント エオロ マルベック 2019、オーパス・ワン 2019。
テイスティングの点数と価格の相対比較でドン・メルチョーのクオリティ・アセスメントのよさが認められた。時代の変化に対応し進化するオントレードのけん引役として、欠かせない存在といえそうだ。
■ ドン・メルチョー
ドン・メルチョー 2020
Don Melchor 2020
アルト・マイポ、プエンテ・アルト産のカベルネ・ソーヴィニヨン92%、カベルネ・フラン6%、メルロ1%、プティ・ヴェルド1%。ステンレスタンクで発酵後、新樽率71%の仏オーク樽で15カ月熟成。1987年に誕生したドン・メルチョーは、いまやチリだけでなく、世界を代表するアイコンワインのひとつとなっている。(24,200円)
[お問い合わせ先]
日本リカー株式会社
TEL:03-5643-9770
https://www.nlwine.com
Photo : Bungo Kimura
Text : Megumi Nishida