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2024.03.19
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次の目標は石灰質土壌のワイタキ
挑戦を続けるオタゴのパイオニア

グラント・テイラーがオタゴでワインを造り始めた1993年当時、ブドウ畑はわずか20ヘクタール。それが現在、2000ヘクタールまで広がった。土地ごとの特性を生かしたワイン造りに取り組むヴァリの、次なる目標は?

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小誌114号のニュージーランドワイン特集でも紹介した、セントラル・オタゴのヴァリ。1993年からこの地でワインを造り始め、パイオニアのひとりとして尊敬を集めるグラント・テイラーが、サブリージョンごとの特性を生かしたワイン
を造るべく98年に設立したワイナリーだ。

現在、グラントの右腕として、実質的に、ヴァリの醸造責任者を務めるのは、女性醸造家のジェン・パー。10年ほど前から造られているオレンジワインのザ・リアル・マッコイは、ジェンの発案だという。

「当初はロゼを造る予定でしたが、ヴァリにはロゼに適したブドウが見当たりませんでした。そこでジョージアやイタリアのオレンジを思い出し、ギブストン・ヴァレーのピノ・グリからオレンジを造ってみることにしたんです」。

ピノ・グリの果皮や梗を、30日間マセレーションして造られるこのオレンジワイン。これまで並行して造られてきたピノ・グリの白ワインを、22年ヴィンテージからディスコンにしたほどの人気ぶりという。

また、ヴァリは、石灰質土壌の存在から注目を浴びる、ノース・オタゴ・ワイタキの開拓者でもある。この地に4ヘクタールのブドウ畑を所有し、ピノ・ノワール、リースリング、シャルドネ、ピノ・グリを栽培。しばしば気候の厳しさが指摘されるワイタキだが、「セントラル・オタゴを発展させたグラントにとって、次のビッグチャレンジ」とジェン。

「セントラル・オタゴのワインが、蛇行した川の水が岩に当たるようなエネルギーなら、ワイタキのワインは、深い湖にダイビングし、湖の底に着いてから浮力で自然に浮き上がるようなエネルギー」と、文学専攻らしい独特の言葉で違いを表現した。

ワイン右)
ワイタキ・ヴィンヤード ピノ・ノワール 2020(右)
Waitaki Vineyard Pinot Noir 2020

石灰質土壌のワイタキで栽培されるピノ・ノワールを醸造。濡れた石を連想させる硬質なミネラル感。しなやかなテク
スチャーと妖艶な余韻。あらゆる面でブルゴーニュ的なエレガンス。(9,020円)

中)
ギブストン・ヴィンヤード ピノ・ノワール 2020
Gibbston Vineyard Pinot Noir 2020

ヴァリが手がけるセントラル・オタゴのサブリージョンの中で、もっとも冷涼な気候。色調は淡めのルビー。フローラル
なアロマ。シルキーなテクスチャーのデリケートなピノ・ノワール。(7,920円)

左)
ザ・リアル・マッコイ ピノ・グリ スキン・ファーメント
オレンジ ワイン 2022
“The Real McCoy” Pinot Gris Skin Fermet Orange Wine 2022

色はまさしくオレンジ。リンゴやアプリコットのアロマ。凝縮感が高く、ピュアな酸味もイキイキと。心地よい渋みが食欲を誘う。ジェンによれば、香りの強い料理と合うとのこと。(5,140円)

ジェン・パー/Jen Parr
米国オレゴン州出身。スタンフォード大学で文学を専攻後、ファイナンス・ソフトウェアの会社に勤めていたが、ロンド
ン滞在中にワインに興味をもち、2003年からNZでワイン造り。醸造は独学。15年からヴァリでワインを造っている。

[お問い合わせ先]
株式会社ラック・コーポレーション
TEL:03-3586-7501
https://www.luc-corp.co.jp

Photo : Yosuke Owashi
Text : Tadayuki Yanagi