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2024.12.17
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コート・デ・ブランを俯瞰する味わい

ドゥラモットといえばブラン・ド・ブラン。そのミレジメはコート・デ・ブランの全グラン・クリュがアッサンブラージュされる。新ヴィンテージ2018年の味わいは?

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サロンの姉妹メゾンとして知られるドゥラモット。メニル・シュール・オジェを拠点とするこのメゾンのフラッグシップは、ブラン・ド・ブランのミレジメである。なるほど、たしかにサロンの妹分だが、サロンと大きく異なる点がひとつある。

姉はル・メニル・シュール・オジェのブドウのみからなる単一クリュのシャンパーニュ。それに対して妹はコート・デ・ブランの全グラン・クリュ、すなわちシュイィ、オワリー、クラマン、アヴィーズ、オジェ、ル・メニル・シュール・オジェの6つをアッサンブラージュしたもの。いわば、コート・デ・ブラン全体を俯瞰したブラン・ド・ブランなのだ。

そのブラン・ド・ブランミレジメから新ヴィンテージの2018年がリリースされた。18年といえば、近年の温暖化を象徴するような暑い年。テイスティングの印象を中村僚我ソムリエに尋ねると、「総じて外交的で近づきやすい」という。「18年の天候だけでなく、まろやかなオワリーや、ふくよかなオジェのシャルドネをアッサンブラージュすることで、この人当たりの優しさが生まれたのでしょう。単一クリュのサロンとはここが違いますね」。

ドザージュは1リットルあたりわずか5グラムの、事実上、エクストラ・ブリュットだが、そうとは感じさせない包容力、寛大さをこのブラン・ド・ブランから感じるという。

「酸味が支配的でない分、料理とシンクロしやすいと思います。いまの季節ならキノコがいいですね。香茸のすり流しや天ぷら。フレンチならミルキーなテクスチャーに合わせて、ブランケット・ド・ヴォーなど。中華の点心とも楽しめそうです。キンキンに冷やしてしまうと、このシャンパーニュの優れた特徴が覆い隠されてしまうので、10度くらいが適温でしょう。グラスもチューリップ型が、香りのインテンシティを楽しめるのでおすすめです」。

シャンパーニュ ドゥラモット
ドゥラモット ブラン・ド・ブラン・ミレジメ 2018

Champagne Delamotte
Delamotte Blanc de Blancs Millésimé 2018

メゾンのフラッグシップとなるブラン・ド・ブランのミレジメ。コート・デ・ブランに位置する6つのグラン・クリュすべてをアッサンブラージュしたブラン・ド・ブランはきわめてまれだ。2014年から3ヴィンテージ飛ばし、18年ヴィンテージが登場。(19,800円)

Nakamura’s comment
ゴールデンデリシャスや黄桃など熟れた果実の香りに、瓶内熟成由来のトースティなブリオッシュのフレーバー。乳製品のニュアンスも感じられる。アタックに丸みがあり、豊かでまろやか。シャープ過ぎずに溶け込むような酸。水平方向に広がるような味わい。アペリティフはもちろん、料理とも合わせて楽しんでいただきたい。

シュイィ
オワリーと並びコート・デ・ブラン最北のグラン・クリュ。産出されるシャルドネは、しっかりした骨格と余韻の長さをワインに与える。

クラマン
東向きおよび南向きの斜面をもち日当たりのよい土地。シャルドネは、スモーキーなニュアンスのミネラルが感じられる。

オワリー
シュイィの東にあり、もっとも北に位置するグラン・クリュだが、酸が柔らかく、まろやかさを生み出すシャルドネを産する。

ル・メニル・シュール・オジェ
チョーク質の土壌の影響がもっとも顕著に現れ、上質な酸、ピュアさ、ミネラル感、塩味、引き締まった骨格をもたらす。

オジェ
円形劇場型で熱を溜めやすい地形のグラン・クリュ。温かみ、ふくよかさ、寛大さ、果実の存在感がオジェのシャルドネの特徴。

アヴィーズ
ほぼ東向きの斜面で構成されるこのグラン・クリュは、バランスのよさが秀逸。それに加えて、ワインに骨格も与える。

中村僚我
Ryoga Nakamura

ソムリエを目指し、2017年に渡仏。20年から2年間、モンペリエの国立高等農学院で栽培醸造学を学び、22年、銀座「ロオジエ」に入店。23年、全日本最優秀ソムリエコンクールで3位入賞を果たす。 25年1月からデンマークの「アルケミスト」に勤務の予定。

[お問い合わせ先]
株式会社ラック・コーポレーション
TEL:03-3586-7501
https://www.luc-corp.co.jp

Photo : Haruki Kodama
Text : Tadayuki Yanagi